蒋豊
「ご主人さま、お帰りなさい!」ドアを開けると、清純でかわいいメイドに囲まれ、かん高い声であいさつされる。席に就いてベルを鳴らすと、メイドがやってきて「ご主人さま、どういたしましょうか?」などといい、食べ物を運んでくるとメイドは魔法のスティックを一振りして「おいしくなあれ!」という。帰りには、メイドたちがドアに並び、「またのおいでをお待ちいたします。」だ。「ご主人さま」としては、夢のようなこの場所で浮かれずにはいられない。
これが日本の「メイドカフェ」の楽しいところだ。マンガに出てくるご主人様とメイドの微妙な関係を、リアルに実現したことでひきつけられるのはオタクたちだけではない。ここは一般のカフェよりは高めではあるが、ノリのよい楽しいメイドたちがいるので、やはり大人気となっている。メイドとのおしゃべり、写真撮影、ゲームなどは別料金となっているが、超かわいいメイドたちがご主人さまに彼女たちと少しでも長くおしゃべりしたくさせるのだ。
メイドカフェのはじまりは1998年にさかのぼる。メイド衣装を着た女の子たちが秋葉原の街角でゲームの宣伝をしたところ、強烈な反響を巻き起こしたのだ。それから、メイドカフェは秋葉原で次々と発生した。今ではすでに日本の各地大都市にひろがり、海外でも成功を修めている。中国の長沙市にある広々として明るいメイドカフェは、開店以来絶えず話題になっており、営業方法が色気仕掛けだと批判されている。
ものを学ぶにはその中核になるところを学ばねばなるまい。日本のメイドはご主人さまにサービスする時に座らない。それだけではない。彼女たちは決してご主人さまに触らない、握手もしない。ご主人さまがメイドにプレゼントを贈る場合でも厳しいチェックがある。つまり、メイドはご主人さまの言うことを聞くはずなので、ご主人さまが座らせておしゃべりをすれば聞かなければならないはずだ。だが、この座ると座らないの間には、メイドカフェの性質に180度の違いがあるのだ。