豪華なクラウンに乗って出社し、きれいな家に住む。女の子の抱えるグッチのバッグは、明日にはフェンディかルイ・ヴィトンに換わっているだろう――。「一億総中流」だった1970年代、日本人は金持ちであり、これらを所有する力があった。一方、経済低迷が続く現代の日本人は、これらを臨時使用する権利だけを持つようになった。このような変化をもたらした背景には、ますます流行する「レンタル文化」がある。
レンタカーは、日本では利便性が高く普遍的なものである。日本は交通が発達しており、通勤には地下鉄が一番便利だ。では、家族旅行の際はどうするのか。最もよく選択されるのがレンタカーだ。レンタカー会社が多いというだけでなく、様々な車種が選択でき、価格もリーズナブルだからだ。
また、生活用品もレンタルできる。もし家に友人が来ることになったら、布団を1セット借りればいい。清潔だし、返すときに洗濯する必要もない。結婚式に呼ぶ友人の数が少なかったり、一緒に同行してくれるボーイフレンドやガールフレンドがいなければ、「レンタル」で解決すればいい。お望みのパーティを作り上げることができるのだ。「妻と子供以外はすべて借り物」という言葉は、「レンタル文化」が隆盛する日本においては、決してジョークではない。
レンタル専用店舗の出現も「レンタル文化」の流行を象徴するものだ。東京都新宿区にある「銀蔵新宿西口店」は、女性向けレンタルショップである。ここはブランドのバッグや、宝石、洋服などを単品で貸し出すだけでなく、礼服や靴、ネックレスなどをレンタルで「トータルコーディネート」している。前者の場合、1日あたりのレンタル料は500~3500円と様々で、後者の場合は、ブランド物で身を固めて1日あたり7500円以下となる。これらブランド品は品質も良く、多くの人々をひきつけている。