今回の日本国債への投資は2つの問題を招く恐れがある。第一に、引き続き円高を推し進めないかということ。今のところそれはなさそうだ。中国は日本国債拡大のため、外貨市場でドルを売り、円を買う必要があるが、中国の日本国債の買い入れ量はさほど大きくなく、円相場に長期的な影響を与えるほどではない。第二に、中国の日本国債購入拡大に新しいリスクがないかどうかということ。日本国債の総額は国内総生産のほぼ2倍に相当し、世界トップだ。しかし、そのうちの95%は日本国内の投資家が保有しているため、基本的に世界の投機家から狙われることはない。だが、国内投資家の多くは日本国内の銀行であるため、日本の一部の銀行に問題が起きれば、日本国債市場にもその影響が飛び火してくる。
中国の外貨準備投資は今後、2つの難題に直面する。大規模な米国債への投資拡大を続けても持続可能性がなく、「すべての卵を一つのかごに入れてはならない」という基本的な投資ルールに背くと知りつつも、世界に目を向けると、高い流動性と安全性が期待できる、それに代わる投資選択には限りがある。ユーロ債の規模はもともと米国債より小さい。しかもユーロ圏は十数カ国それぞれ国によって状況が異なり、統一された強大なユーロ債市場を築くにいたっていない。少し誇張して言うなら、中国の外貨準備投資は今後、より優れた資産を選択する過程ではなく、最も劣等な資産をいかに回避するかの過程となる。中国の巨額の外貨準備高をいかに利用して投資するかは、困難を極めるだろう。安全性とリターン率ともに難しい問題だ。しかも、世界的な金融危機の状況では低リスク、高収益という投資選択が非常に少ない。しかし中国の経済成長の実情から見て、外貨準備を外国国債資産の中に「隠し」、比較的低いリターンを得るより、中国の経済成長に欠かせない原材料やエネルギー、技術、ブランドをいかに購入するか考え、「生きた財産」にしたほうがより理想的ではないだろうか。
「人民網日本語版」2010年7月9日