暴力団は家父長制を模した序列的・擬似的血縁関係によって構築されているため、組員同士は強い絆で結ばれている。「親」は組員である「子」を自分の力が及ぶ限り守り通し、時には叱り、時には諭す。「子」は「親」に対しては、絶対的な忠誠と無条件の服従を誓う。名誉や伝統を重んじる日本の社会は、この繋がりを更に強固なものにしたと言える。しかし、もし「子」が「親」に任された事を上手く処理できなければ、「子」の犯したミスを「親」が完全にかばいきれない場合もある。その時は、「子」は処罰を受けるしかないのだ。例えば、組を抜けるときには小指を切らなくてはいけない。組の中では誰でも「親」になる可能性があるし、一方では「子」になることもある。自分より身分が上の者の前では「子」を演じ、配下の前では「親」になるのだ。