GDPの伸びを上回る成長
2004年から2010年までの7年間の文化産業の年平均伸び率は23%で、国内総生産(GDP)の伸び率をはるかに上回る成長を遂げています。目下、中国は世界3大映画生産国の一つとなっており、また、TVドラマと出版書籍の種類において世界をリードしていますが、それでも、2010年の文化産業のGDPに占める比率は2.75%(1兆1千億元)に過ぎません。文化産業の発展の余地は大きく、特に、海外展開に大きな期待がかかっています。
『決定』では、2020年までに文化産業を国民経済の支柱産業にするとしており、そのために①公有制と民族文化を主体とする②海外から有益な文化を吸収する③国際競争力を増強し、世界文化において中華文化を開放する―を推進するとしています。
文化産業の支柱産業化について、中国国内での最近の動きをいくつか紹介しましょう。
■2011年7月、中国科学出版集団有限責任公司、人民郵電出版社、電子工業出版社などが連合して中国科技出版伝媒集団有限公司を設立するなど、文化産業の大規模化、集約化、専業化が矢継ぎ早に急ピッチで展開
■国家として今後五年以内に200社の文化企業の株式上場を支持
■2010年、全国20余の省・直轄市・自治区で「文化大省」戦略を提唱
■2011年、上海で、香港に続く中国2番目のディズニーランド建設に着工
■2011年10月時点で、全土に一千余の文化産業基地(園区)、数十のアニメ基地、数千のアニメ企業、50余アニメ・フェスティバルが存在
注目すべきなのは、日本のアニメがこれまで一貫して中国で人気を博しており、例えば、中国各都市で対中投資の勧誘のために来日するミッションのほとんどが、アニメ関連日本企業の誘致に積極的である点が指摘できます。
■日本関連では、例えば、ウルトラマン(『大怪獣バトル』『ウルトラ銀河伝説』)が5月に公開され、上映1カ月余で、中国で公開された日本映画の興行収入記録を更新。また、北京市朝陽区にオタクカフェが誕生。
文化産業の育成・発展は、経済発展への貢献もさることながら、5000年に及ぶ中国文化に対する人民の自信、誇りを再確認し、その海外展開で中国に対する理解を促進させるなど、中国のソフトパワーを内外で発揮できるという効果も期待できるわけです。