文化産業の海外進出に勢い
文化産業の「走出去」には、文化作品の海外展開(公演)、文化交流、文化関連製品の輸出入なども含みます。中国文化への国際理解の向上に大きな期待がかかっています。最近の状況を見てみましょう。
■現在、148カ国と文化協力協議を締結。近年、中仏文化年、中露文化年、中日文化体育交流年などの開催を通じ文化交流を活発化している。
■2004年から2010年まで約80カ国・地域に630の演劇団を派遣、3万3000公演を実施。『雲南映像』と呼ばれる独特な舞踊等、中国文化の水準の高さを誇示した。
■350余の孔子学院が海外展開。孔子学院は、中国文化センター(2011年9月現在、海外9カ国・地域に設置)と共に中国文化の普及、中国文化ソフトパワーの発揮の最前線に位置付けられている。
■2010年、海外での中国映画フェア 100回実施。
■図書版権の輸出が増加。2010年の輸出入比率は、2005年の輸出1に対し輸入7であったが、2010年には1対3に縮小している。
■2011年10月1日、ニューヨーク・タイムズ・スクエアの巨大液晶画面に孔子の動画などが映写され、米国民に中国のイメージを強力にアピール。
■2010年、日中合弁の中国出版東販株式会社が東京に設立。また、2011年、『サンザシの樹の下で』『唐山大地震』『Shanghai(諜海風雲)』『南京!南京!』など中国映画(日中合弁を含む)が矢継ぎ早に上映されるなど、日本で中国文化関連企業や作品の対日展開が話題となった。
■投資総額10億ポンドの中国テーマパーク(中国では世界初)が2011年末に英国で申請される見通しと報道(人民網2011年8月18日)。いつの日か、ミッキーマウスやドナルドダックのような世界的キャラクターが中国から出現することも期待できる。
ある韓国発TVドラマの放映を契機に、日本で韓流ブームが起こり、韓国のイメージが大きく向上、今では、韓国発ドラマや韓国歌手やグループが出場する歌謡ショーがTVで日常茶飯になりましたが、中国文化産業の発展と海外展開により中国のソフトパワーが発揮されれば、例えば、海外のビデオショップで中国映画・アニメ作品を借りる人が増え、中国映画の入場券を買うために長蛇の列ができるということです。今回の『決定』の真意の一端は、突き詰めれば、中国文化が世界の日常生活でより認められるという点にあるといっても過言ではないでしょう。
最後に、都市化が進む中国にあって、都市がその過程でどんな都市文化を作り上げてゆくのか、大いに注目したいと思います。世界における中国のプレゼンスが向上する昨今、中国発の文化は、今後世界に急速に浸透してゆくものと考えられます。
その発祥源は都市にあることは想像に難くないでしょう。昨年、開催された上海万博のテーマは、「より良い都市、より良い生活」でしたが、中国の都市化の進展は、正に、中国文化の発展と中国ソフトパワーの行方を見る視点となるのではないでしょうか。
人民中国インターネット版 2012年1月29日