(八)人民が満足できるサービス型政府を構築する
ここ一年、政府自体の改革と整備には新たな進展が見られた。さまざまな困難に立ち向かうため、われわれはとくに民主を発揚し、末端の民衆の意見に耳を傾けることに心がけ、大衆の利益の擁護を重視してきた。また広範な公務員はこつこつと働き、まじめに職責を全うし、経済成長、民生、安定の確保のために積極的な貢献をしてきた。しかし、政府の活動はまだ十分に人民の期待に応えられているとはいえない。機能転換はまだ不十分で、ミクロ経済に介入しすぎ、社会管理と公共サービスはかなり脆弱である。一部の公務員は法律に基づいて行政を行うという意識が希薄で、大衆と現実から離れて形式主義や官僚主義に走っている幹部も見受けられる。また一部の分野においては腐敗現象が多発する傾向もみられる。われわれは機能転換を軸に行政管理体制の改革を深め、サービス型政府の確立を大いに推し進め、各種市場主体が公平に発展する環境を作り出し、人民大衆に良好な公共サービスが提供できるよう努め、社会の公平・正義を維持しなければならない。
われわれは政府の機能を全面的かつ正しく全うし、公共サービスと社会管理をさらに重視しなければならない。全人民をカバーする公共サービス体系の健全化を急ぎ、基本的公共サービス能力を全面的に増強していく。重大な自然災害、突発公共安全事件の緊急対処メカニズムを健全なものにする。防災・減災能力の整備を強化する。食品・医薬品の品質にかかわる監督・管理を強化し、安全生産活動を立派に行い、重大事件・重要案件の発生を食い止める。
新たな情勢に適応して、社会管理体制の改革と革新を推し進め、社会の利益関係を合理的に調整しなければならない。企業の体制改革、土地収用やそれに伴う家屋立退き、環境保護、労使紛争、訴訟などの分野において大衆の利益を損なう際立った問題を真剣に解決し、人民大衆の合法的権益を保障する。投書・陳情受理を強化し、それを改善させる。移動人口の管理とサービスを改善する。社会治安総合対策を強化し、際立った治安問題の解決に力を入れ、さまざまな違法犯罪活動を防ぎ、また法律に照らしてこれらを厳しく取り締まり、国の安全と社会の安定を守る。
執行能力と信認度の向上に努めなければならない。政策決定の科学化、民主化を堅持し、諸般の政策がさらに実情に合致し、検証に耐えうるようにする。政策執行状況に対する検査、監督を強化し、禁じられている事項は必ずそれを守らなければならない。行政問責制度を強化し、汚職や背任、やるべきことを行わない、もしくはむやみに行うといった行為に対し、その責任を厳しく追及しなければならない。各地区、各部門は中央の政策決定や布石の執行に力を入れなければならず、各自の身勝手なふるまいを決して許してはならない。各級行政機関及び公務員は自覚をもって憲法と法律を遵守し、厳格に法律に則った行政を行わなければならない。行政法規の執行の仕事を着実に改善し、規範、公正、文明的な法執行にしっかり取り組む。政策の決定、執行、監督が相互に制約を受けつつ協調を保つ行政運行メカニズムを確立し、その健全化を速める。
腐敗反対・廉潔政治提唱の取り組みを重要な位置に置かなければならない。これは政権強化に直接かかわるものである。各級指導幹部、とくに高級幹部は、所得、住宅、投資および配偶者・子女の就職状況などの重要事項を含む個人の経済・財産状況を報告することについての中央の規定を断固実行したうえで、自覚をもって規律検査部門の監督を受けなければならない。法律に違反し、規律を乱す重大事件・重要案件を厳しく取り調べ、処理し、これを反腐敗対策の重要な任務としなければならない。監察、会計審査部門の役割を十分に発揮させ、行政権力行使への監督を強化する。腐敗の懲罰・予防システムに関する諸制度の確立と整備をはかり、とくに公共資源の配置、公共資産の取引、公共製品の生産などの分野における管理制度を健全なものにし、制度の拘束力を増強させなければならない。勤倹を旨とした行政を堅持し、贅沢や浪費に反対し、行政コストをたえず削減する。ビル・公会堂・ホテル・ゲストハウスなどの建設を厳しく抑制し、オフィスの派手なリニューアルを禁じ、公務接待や公用車の使用制度の改革を急ぎ、公金による出国をきびしく抑制する。会議や文書を着実に減らし、とくに中味より形式を重んじるような会議やセレモニー、フォーラムを減らしていかなければならない。政務の公開化をつっこんで推し進め、さまざまな政務公開制度と行政再審査制度を充実させ、大衆が政府を批判、監督する条件を作り出すとともに、マスコミ世論による監督の役割を十分活用し、権力がオープンに行使されるようにしなければならない。
われわれはいろんなことを行ってきたが、それはすべて人民がもっと尊厳をもって、より幸せな暮らしができるようにするためであり、さらに公平な、調和のとれた社会を築き上げるためである。