米ロは先日、スパイ交換によって、一度は上を下への大騒ぎとなったスパイ騒動の幕引きを図った。すでに本国に送還されたロシアの「10人のスパイ団」、中でも特に注目を集めた美人スパイ、アンナ・チャップマン氏の帰国後の生活はどのようなものなのだろうか?関係者がこのほど内情を明かした。「楚天金報」が伝えた。
■まず密室での取り調べ
米ロは9日にオーストリア・ウィーンの空港の滑走路上でスパイ交換の手続きを終えた。ロシアのスパイ10人を乗せたロシア非常事態省のヤク42D型旅客機は同日夜、モスクワのドモジェドボ空港に到着。10人は旅客機から降りるとただちに空港に停車していた2台の車に乗せられてどこかへ移動し、人々の視界から消え去った。10人の行方についてロシア政府系メディアは沈黙を守っているが、少数の非主流派メディアは、10人はモスクワ到着後ただちにロシア情報当局によって秘密の場所へ密かに移され、「厳しい取り調べ」を受けたと報じている。米国のために働く2重スパイが紛れ込んでいることを懸念してのことだ。嘘発見器を含む取り調べは数日間行われたと見られる。取り調べが全て終了し、なんの疑いもないことが確認された者は、ロシア当局の手配により、同国で「新しい生活」を始めたもようだ。
■教官になる者、再び海外に派遣される者
KGBの元スパイ、ミハイル・リュビモフ氏は、スパイは帰国後、最終的な落着き先を与えられると見ている。過去何回かのスパイ交換を見ると、米国のパイロット、ゲーリー・パワーズ氏と交換されたルドルフ・アベル氏にせよ、別のスパイにせよ、ロシア帰国後はメディアの注目を集めず、一部西側メディアが時折事件に触れるだけだった。今回交換された10人についてリュビモフ氏は「彼らが本当にロシア情報当局のために働いていたのなら、当局は彼らの将来に対して最後まで責任を負うだろう。われわれの機関は彼らの面倒を見、仕事を代りに探すだろう」と指摘する。帰国後の生活に余り大きな変化はなく、本名が秘密にされるため、ほどなく人々からも忘れられ、普通の人と同様に日常生活の中に「消えていく」とのことだ。
帰国した元スパイは通常、後輩のスパイの指導に当たるが、外交官として再び外国に派遣される者もいる。非常に面白いケースとして、アベル氏は帰国後にウィリアム・フィッシャーという本名を取り戻し、数多くのスパイ映画で監修を務めた。リュビモフ氏自身はロシア送還後、当局に学校へ入れられさらなる研鑽を積んだ後、デンマークへ派遣された。合法的な情報要員として、ここ数年間はロシアの在外大使館の参事官を務めている。
「人民網日本語版」2010年7月19日