米日刊紙「ニューヨーク・タイムズ」8月21日付の掲載記事「中国経済:中国は世界覇権を手に入れるか?」の内容を以下に紹介する。
かつてナポレオンは 「中国が目覚める時、世界は震撼するだろう」と述べたという。だが、それから150年以上もの間、ナポレオンの予言が実証されることはなかった。古代文明を持つ中国という国名が、「孤立」「停滞」という代名詞をもって表現された時代もあった。
そして今、まさに高度経済成長で「目覚めた」中国は、日本をも凌ぐ世界第2位の経済大国になっている。今後20年以内には米国を抜き、世界のトップに躍り出る、と各メディアは伝えている。鄧小平により1978年に開始された「第二次革命」(改革開放)以来、中国経済は毎年10%近い成長率を保持しており、有史以来、経済成長が最も持続している国の一つになっている。だが、経済成長によりもたらされたその国富を、中国はどのように運用していくのか?というのが主要な問題となっている。
かつては、「国が富めば、武装を強化し、敵国を疲弊させ、自国を強大化する」という答えが正解とされた。18世紀のヨーロッパで支配的であった経済政策「重商主義」の理論に基づけば、経済力と軍事力は相互に促進するものであった。だが、21世紀以降を振り返ると、中国研究家らの観点は以下のように共通している:「共産主義の脅威は、いわゆる黄禍論(黄色人種脅威論)と同じく、砂上の楼閣にすぎない」と。真珠湾奇襲攻撃により太平洋戦争が勃発する前の米国と同じく、今、中国が関心を寄せているのはバター(生活必需品:経済)であって大砲(軍事)ではない。中国は、開放された市場の平和的秩序により、競争相手国との利益関係のバランスを上手くはかることを望んでいる。