朝鮮の最高指導者・金正日氏の「中国訪問」に、西側メディアは尋常でない不安を顕わにしている。人民日報系の国際情報紙「環球時報」が伝えた。
「ニューヨーク・タイムズ」は28日、アナリストの話として「カーター元大統領の訪朝期間に金正日が中国訪問を選択したことは、経済・政治面での北京への依存度の深さを明らかにするものだ」と伝えた。
「読売新聞」は29日、朝鮮の心中で「中米の重みが異なる」ことを示すものだと指摘。「カーター訪朝は悪い先例を作った」との批判の声が米国内にあることも伝えた。
韓国紙「毎日経済」は29日付の社説で「朝中の蜜月関係によって朝鮮半島の緊張がさらに深まり、長期化することが懸念される。親密な朝中関係によって朝鮮が『急速に中国化し』、半島統一の費用が大幅に増加することが考えられる。従って韓米は朝鮮をひたすら死角へ追い込むよりも、水害関係の人道支援を行うなど意思疎通の機会を模索すべきだ」と指摘した。
「韓国日報」は29日、「金正日の訪中によって中朝関係は緊密になった。この全てを目の当たりにした米国の心中は最も複雑だ。これによって中朝と韓米の対峙構造が長引くことが考えられるからだ」と指摘した。
金正日氏がカーター氏と面会しなかった事は、中国の朝韓問題専門家・呂超氏も意外に感じている。呂氏は「朝鮮でのカーター氏の評判は悪くない。金正日が面会しなかったのは、本当に意図的なものかも知れない。最近米韓が日本海で行っている一連の軍事演習に朝鮮は非常に腹を立てている。朝鮮は米国に弱みを見せたくなかったのだろう。金正日氏の訪中に対する日韓メディアの異常な注目は彼らの不安の現われだ。朝鮮が中国と接近し、中国の後押しを得て、日韓への強硬姿勢を強めることを恐れているのだ」と指摘する。呂氏はさらに「実はこれは中国の外交政策を曲解している。中朝友好関係は北東アジアの安定のためだ。少なくとも中国は堅くそう考えている。中国の利益は北東アジアの安定にあるからだ」と述べた。
「人民網日本語版」2010年9月1日