第三に、今のところ特に目立った問題はない韓国政権だが、中国とは「戦略協定」を結んでおり、去年の韓日それぞれの対中貿易総額は、いずれも対米以上の数字となった。更に、韓国の現在の政局も依然として不安定な状態にある。
第四に、ASEANと中国の関係が今の状態のまま発展を続ければ、中国にとってはまさに「思い通り」であり、その主張する「対周辺協調」も現実的なものとなる。
これらの状況の下、オバマ政権はそれ以前の歴代政権にも増して更に頭を悩ませており、その「撹乱」を決断した。「アジア版NATO」の亡霊が、これを機にまた新しい形で復活したのである。
米国が苦戦する東アジア連合強大化
米国は、「中国脅威論」や「中国傲慢論」の吹聴、また朝鮮の「脅威」をアピールすることで、日本や韓国に「安全保護バリア」としての米国の必要性を意識させている。今のところ、この状況における「二国間同盟」や「二国間パートナーシップ」により、「アジア版NATO」につなげることができそうな様相だ。今回は「米国が最大の勝者」だとする米国の一部メディアも存在する。朝鮮半島における米国の戦時作戦統制権は3年7カ月延長され、日本の米国に対抗できるとされるその勢力は、今押さえつけられている…
ただ、実際には、これら全てが表面的かつ一時的な現象であり、新しい状況における米国の「覇権心理と衰弱心理」の表れである。今日の東アジア勢力や中国と東アジア国家の関係は、以前とは比べ物にならないほど変わってしまった。「アジア版NATO」という名の冷戦的思考はもはや時代遅れなのである。
それは、国際的力量の比率に大きな変化が生じたことや、人々の心に平和的協力的互恵思想が芽生えたことはもちろん、中国が終始、平和的発展路線を貫き、善隣政策や「対周辺協調」政策を実行し、平等的態度で争いを避けてきたからに他ならない。米国の主張する「中国脅威論」や「中国傲慢論」は、ありもしない作り話に過ぎないのだ。中国の発展とその影響力、そして東アジア連合強大化の流れ、米国にそれらを止める力はないのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月19日