9月の「管対小沢」の党代表選で、鳩山氏は小沢氏の側に立ち、管氏は台頭しつつある前原誠司氏ら若手に依存せざるを得なかった。最終的に、小沢氏が敗れ、鳩山派はどうかと言えば、管氏か小沢氏を支持するかで分裂。新内閣では、官房長官と国家戦略担当相など核心となる要職はいずれも前原派が就任、加えて松下政経塾出身の野田佳彦派が基本的に歩調を合わせたことから、前原氏の首相という宝座奪取も遠くはない。実際、鳩山氏退任時の日本のメディアの世論調査では、前原氏の支持率が群を抜いていた。
今年48歳の前原氏は著名な国際政治学者・高坂正堯氏の門下生。高坂氏は生前、京大とハーバード大で教鞭を取り、典型的な現実主義的な外交論者として知られた。高坂氏は前原氏に、政治家は「外交」と「税収」に精通していなければならない、と戒めている。「日米関係を重視する、集団自衛権で突破口を開く、公共事業を発展させる」。高坂氏が臨終の際に遺した言葉である。
前原氏はかつて小泉純一郎氏を「片目しかないハンターであり、家族を満腹させるのに二匹のウサギが必要な時でも、なんと一匹しか追いかけない」と風刺したことがある。ここに氏の尊大さが感じられる。滑らかな中国語を話す。高坂氏に師事した時の研究課題は「中国の現代化」、また中島峯雄氏の「現代中国論」「北京烈烈」や永井陽之助氏、高坂正堯氏の中国に関する著作をすべて精読したと自ら語っている。中国を理解していないと言うべきではなく、むしろ小泉氏と同様、「二匹のウサギ」を追いかける能力は備えていない、のかも知れない。血気盛んかつ尊大なところのある前原氏には、「脱亜入欧」の遺伝子と「抗亜入米」の激情が、ところどころで感じられる。
衝突事件が起きた際、海上保安庁を所管していたのが当時の前原国土交通相。外相になってもその強硬姿勢は一貫している。衝突事件で前原氏は民衆からより強い信望を得ることができただけでなく、沖縄の米軍基地問題もずっと解決しやすくなった。日本メディアが、中国は態度が強硬で、横暴で無理な要求を出していると報じたからだ。
釣魚島の衝突事件、この手に汗握る“大型芝居”を“演出”したのは。漁夫の利を本当に得たのは。日本政界の若手保守派の台頭に中国はどう対するか、その準備はできているのか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月24日