米政府はこのほど、オバマ大統領のアフガニスタン増兵戦略への評価と、アフガン戦争に関する各方面のデータの収集を始めた。増兵戦略の調整について提案するためだ。以前、米英メディアはアフガン政府とタリバンなど反政府武装勢力との交渉再開に関するニュースを相次いで報じた。これは明らかに、米国が両者への和平交渉推進への戦略的意思を強化したことを意味している。
昨年米政府がアフガン・パキスタン新戦略を打ち出して以来、アフガン安定の前提条件は常に、軍事的にタリバンを破ることにあった。だが今年6月に新しい駐留米軍トップにペトレイアス司令官が就任して以来、米軍は軍事攻撃と交渉・懐柔の二面作戦を始めた。米国はタリバンへの軍事攻撃を強化し、特殊作戦やピンポイント掃討などでタリバン指導者の殺害を図る一方で、アフガン政府とタリバンの各派閥との接触を陰で支持し、アフガン問題の政治解決と米軍撤退に向けた準備を進めている。
アフガン「平定」の効果ははっきりせず、タリバンはまるで「叩くほど増える」ようだ。このため米国の世論はアフガンの泥沼から脱する方法を集中して議論し始めている。その1つとして、タリバンを分裂・瓦解させ、政治プロセスに取り込むことが検討されている。米国は一度は国連の国際テロリストリストからタリバン指導者を外すことさえ検討した。タリバンがアルカイダとの関係を断つこと、いかなる過激組織にもアフガン領土を利用した他国への攻撃を認めないと明確に約束することが、その当然の前提条件だった。
現在米国がアフガン政府とタリバンとの和平交渉を推進しているのは、相当程度、アフガン問題に対する米国の緊迫感の反映だ。今年末に対アフガン新戦略への評価が発表される。それまでに大きな戦果を上げることは明らかに不可能であり、和平交渉の推進が大きな政治的成果とされるかも知れない。オバマ大統領は以前、来年7月の撤退開始も明確に約束した。ペトレイアス司令官は撤退に向けた策を早期に、しっかりと練らなければならない。その1つが和平交渉の推進であり、もう1つは間もなくリスボンで開かれるNATO首脳会議で、治安権限を2014年にアフガン政府に移行するとのカルザイ大統領の提案について議論することだ。これによって米国は3年間という時間を再び手にし、来年7月の撤退を曖昧にすることも可能になる。
まず確かなのは、米国の対アフガン戦略は再考と再評価の重要な節目を再び迎えているということだ。米国の対アフガン戦略は、全土を巻き込む「平定」から目標の明確な「対テロ」の軌道へと戻り、攻撃範囲を縮小することで、撤退への地ならしを図ることが考えられる。
「人民網日本語版」2010年11月17日