米空軍が開発した無人ミニシャトル「X-37B」
2010年2月、米国防省のロバート・ゲイツ長官は新たな『4年ごとの国防政策見直し(QDR)』を発表し、「エアシーバトル(空海戦闘)」という統合作戦の新構想を正式に認めた。「統合エアシーバトル構想」は、既に、現在及び将来における米軍の整備、作戦運用の中心となっている。
◆主要な戦場は西太平洋海域
「統合エアシーバトル構想」は、米国が西太平洋海域における最高位の軍事行動として描く統合作戦モデルである。中国にとっては、西太平洋海域は中国の国際戦略展開の最前方かつ中心をなすエリアで、中国の利益はこのエリアに集中している。米国にとっては、過去60年以上の間、米国は西太平洋海域で極めて重要な政治面、経済面、安全面での利益を有すると、歴代政府が一貫して公に主張している。
米軍は次のように考えている。広大な西太平洋海域で一旦衝突が起きれば、中国軍は大規模な先制攻撃を実施し、西太平洋海域の米軍は重大な損失を被る。米の空海軍部隊は西太平洋海域に進入不能となり、米軍の作戦エリアへの進入が遅れれば、米国の主要同盟国(日本、韓国)及び友好国の安全確保や台湾への防衛協力という目的が有効に果たせなくなる。
このような理由及び判断により、米国の軍事ブレーンや軍指導層は、「統合エアシーバトル構想」を発展させ、米軍の西太平洋海域への軍事力の輸送能力を維持することが必須だと提議している。
第一に、西太平洋海域の軍事拠点整備の更なる強化。2009年、米国は巨費を投じてグアムの空軍基地の拡張、及び、海軍施設の整備を行い、米軍の主要な最前方作戦基地とした。
第二に、グアムの空海軍の常駐兵力の増強。米海軍はグアムに一個空母打撃群の配置を計画し、既に攻撃型原子力潜水艦を15隻にまで増やした。米空軍は爆撃機6機、F15E戦闘機48機、無人偵察機「グローバルホーク」3機、空中給油機12機、及び、最新型のステルス戦闘機F/A-22ラプターを増備する。