一国の軍事力を上回る米韓合同軍事演習が1日に終了すると、続いてその6倍を上回る規模の日米共同統合演習が始まった。もっとも、これは日米韓3カ国が今月行う一連の軍事演習の幕開けにすぎず、東アジア情勢は今後しばらく緊張が続くとみられる。こうした中、米原子力空母ジョージ・ワシントンに象徴される西太平洋米軍が絶対的な優位を保つことは必至だ。では、軍事力の誇示のほか、今回の演習にはどのような狙いがあるのだろうか。中国紙、広州日報が伝えた。
▽空母は突発的事件に不向き
米空海軍が共同開発した新たな軍事作戦構想「空海戦(AirSea Battle)」が2009年9月に始動し、今年2月にロバート・ゲーツ米国防長官が発表した最新の「国防計画見直し(QDR)」で本決まりになった。同構想が打ち出された今年、折しも朝韓間で延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件が起きた。米韓合同演習への米軍空母編隊の参加から「空海戦」構想の一端が垣間見えそうだ。
「米韓演習の規模は一国の軍事力に匹敵する」(韓国メディア)といっても、米「空海戦」構想が目指す規模には程遠い。“空海”戦であって“海空”戦でないのは、今後の戦闘における空軍ないし宇宙軍事力の戦闘における重要性と、戦場における原子力空母の位置付けを米が認識しているからだ。
米軍からみれば、空海戦のビジョンは、まず宇宙情報支援システムの運営を確保するとともに、敵の宇宙軍事力を削ぐことが必要となる。そして遠隔操作の可能なステルス爆撃機「B1」「B2」などによる上空からの攻撃や巡航ミサイル原子力潜水艦による海上からの急速攻撃を、数時間以内に仕掛ける。ここにきて空母搭載機の援護を受けた空海軍がようやく、早期警戒管制機「E3」、偵察機「RC135」などの指令のもと、敵陣へ深く切り込むことになる。