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2010年に東中国海・南中国海で衝突が集中的に発生したことで、中国海洋問題に警鐘が鳴らされ、中国海は四面楚歌となった。厦門大学国際関係学院の海洋問題専門家・許可氏は、これらの問題は中国自身の原因を際立たせることになったと指摘。つまり、中国は自身、海上力が脆弱であるため、外国勢は非常に少ない代価をもって中国に非常に大きな打撃を与えることができる。
例えば、クリントン国務長官の南中国海の安全は米国の国家利益に関わるとの発言は、中国を大いに揺り動かした。米国の緊密な盟友である日本は釣魚島の実効支配権を利用、掌握し、付近の海域で活動していた中国漁民を逮捕したことは、これと呼応する。許氏は「いずれも海洋問題だが、東中国海・南中国海の解決方法はむしろ同一ではない」と強調する。
島嶼紛争の解決、緩あり急あり
――東中国海・南中国海の島嶼をめぐる紛争のカギはどこにあるのか。「紛争を棚上げし、共同で開発する」という大原則は依然、有用かつ有効か。
許氏 南中国海の島嶼紛争では、「相互利益」という幻想を抱く必要はない。二国間また多国間交渉は情勢を緩和することができても、実際に意義のある交渉がなければ、最終的な結果はただ自縄自縛、みすみす好機を逸するだけだ。
現在、中国にとって最も重要なのは、行動に出ることだ。南中国海の中国の境界線内で、海上法執行当局の強力なチームを派遣して巡回・警備に当たらせ、不法侵入した外国船舶を追放し、自らの領土と海洋の利益が侵犯されないよう防衛しなければならない。米国と東南アジア諸国連合(アセアン)の南中国海での協力関係がまだ初期段階にあることを重要視し、臨機に断固たる措置を講じて周辺の小国に占領された島嶼を奪回しなければならない。南中国海問題の解決の先延ばしは許されず、解決が遅れれば、中国はそれだけ大きな政治・経済的代価を払うことになる。
東中国海をめぐる争いは、単純な二国間の衝突のようにも見えるが、実は非常に奇異なことであり、処理に当たっては格別慎重でなければならない。釣魚島主権の帰属問題は、米国が第2次世界大戦後に中日をけん制するため故意に残した禍根でもある。現在、中国の海上力は日米よりはるかに遅れており、中国が過激な行動に出れば、米日が連携して海上で中国に重大な痛手を負わせるのは必至であり、海上での台頭という中国の夢は必ず消え失せるだろう。あるいは海上力が十分増強されてようやく、臨機に断固とした措置を講じることができるのかも知れない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年1月10日