米国は昨年、韓国や日本と立て続けに大規模な軍事演習を行ない、両国との軍事同盟関係を全面的に引き上げた。外交面ではアジア政策での「リーダーシップ」の発揮、東アジアサミットへの初出席、アジア各国への高官のシャトル訪問を仰々しく公表した。経済面では「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」に参加し、日韓の参加も促した。ここにいたって、アジアにおける米国の「リーダーシップ」発揮の戦略的措置・布石がほぼはっきりとした。米国の2011年の世界戦略の重点はアジアだ。(文:王鳴鳴氏<中国社会科学院世界経済・政治研究所>)
■米国はなぜ世界戦略の重点をアジアに転換するのか?
(1)米同時多発テロ以降、米国は戦略の重点を中東に、目標を対テロとイラク戦争の勝利に定めてきた。
(2)米国が対テロとイラク戦争に目を向けている間に、中国やインドを代表とするアジアの新たな発展によって、世界経済に占めるアジアの重要性が他の地域を上回るようになった。
(3)米国が戦略の重点をアジアに置くのには、見落とせない要素がある。つまり中国の影響力と均衡を図ることだ。
(4)最も重要なのは、アジアを戦略の重点とすることが米国の国益と世界戦略上の必要によるものということだ。
■各面でアジア戦略を全力推進
具体的に分析すると米国は今年、以下の面でアジア戦略を全力で推し進める可能性が高い。
(1)日韓との2国間軍事関係を多国間のものへと発展させようと試みる。
(2)「大多国間」と「小多国間」を並行して進め、ASEANとの関係を強化する。米国のアジア戦略において真に「回帰」の意味を持つのは対ASEAN政策だ。
(3)対インド政策の調整を進め、アジアと世界においてさらに大きな役割を発揮するようインドを促す。
(4)TPPは米国がアジアに回帰し、アジア太平洋地域自由貿易圏を築く重要な一環だ。
「人民網日本語版」2011年1月26日