菅直人政権には手ごわい「敵」が3人いる。つまり、どんどん下がっていく支持率、日増しに弱まる政界での勢力、そして小沢一郎という内部の「膿」の3つである。民主党と菅直人は、無常にも絶体絶命のピンチに直面しているのである。自信に満ち溢れていたが、結局、大志を実現するには至らなかった。1月28日付けのシンガポール紙「聨合早報」が伝えた。
菅直人の「返り咲き」精神
2006年に小泉純一郎が退任してから、2年以上政権の座に居られた人は一人も現われなかった。しかし、菅直人は小沢一郎を負かし、65%の内閣支持率をたたき出し、注目を集めた。菅直人の「返り咲き」の精神は以下の2点にかかっている。
まずは庶民の出身であるということだ。彼は歴代の首相の中でも「もっとも貧乏」な首相であり、個人資産はたったの2240万円しかなく、人民元にしておよそ176万6000元である。
次に、彼は「反小沢派」を貫き通している。「反小沢」という言葉は2010年の日本の流行語であると言えるだろう。そこには、人々の政治家に対する嫌悪感がにじみ出ている。菅直人のような「庶民派」の首相は、ずっと党を牛耳ってきた勢力に頭を下げることなく、小沢一郎に必死に立ち向かってきた。彼は民主党を独立した清廉潔白な党にしたかったのだ。彼のこの努力は評価されるべきである。
しかし、どんなに自信満々でも、結果を出すことはできなかった。 日本の政治があまりにも泥にまみれており、党の勢力図が複雑に入り組んでいたからだ。庶民派の首相が容易に太刀打ちできるような代物ではなかった。
そして、菅直人政権に現われた「3人の敵」の1人目は国民である。今や菅政権の支持率は21%まで落ち込んでいる。20%が政権を握れるギリギリのラインであると言われている。20%を下回った首相はだいたい、自分の名誉と忠誠を守るために辞任するものだ。彼の政策はどれも上手くいかず、人々の心はますます離れていった。「壊れた壁を見て、皆で崩す」つまり、人が弱っているところに乗じて攻撃するとはこのことである。