インドネシアのユドヨノ大統領がこのほどインドを公式訪問し、「共和国記念日」の祝典にも主賓として出席した。今回の訪問で両国は150億ドル相当の投資貿易合意、および協力文書30件余りに調印した。インドとASEAN最大の国であるインドネシアとの戦略的パートナーシップの大幅な格上げは、インドの「ルックイースト政策」の深化を意味する。
インドは1990年代に初めてルックイースト政策を打ち出した。これは現在までに2つの発展段階を経てきた。第1段階は東南アジア諸国との関係を修復し、アジアNIEsの経済急行に相乗りすることに重点が置かれた。10年近くの努力を経てインドはベトナム、カンボジアとの伝統的な戦略関係を強化するとともに、冷戦時代に異なる陣営に属したことから疎遠になっていた他の東南アジア諸国との関係も全面的に修復し、1996年にはASEAN地域フォーラム(ARF)にも加盟した。
21世紀に入るとインドは経済回復と核実験の成功を土台に「大国としての台頭」を追求し始め、ルックイーストの取り組みを強化し、その第二段階に入った。これには以下の3つの大きな特徴がある。
(1)範囲の拡大、東南アジアから東アジア全体へと目標を拡大。インドは日本、韓国とそれぞれ戦略的パートナーシップを構築。対モンゴル外交を着実に発展させ、重点援助の対象とするのみならず、国防・原子力協力も積極的に推進している。対中関係についてインド政府は「ルックイースト政策の重要な構成部分」と繰り返し強調している。
(2)分野の拡大、経済協力と安全保障協力を並行推進。経済面ではASEANとの自由貿易協定交渉で重要な進展を遂げた。物品自由貿易協定は2010年1月1日に発効し、サービス貿易・投資自由化交渉も現在積極的に進められている。安全保障面では、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カンボジア、日本、モンゴルなど多くの国々と二国間国防協力合意を締結。人材育成、合同軍事演習、海上安全保障協力などに重点を置いている。
(3)形式の多様化、二国間・多国間協力の並行発展。近年インドは東アジア統合にさらに熱を入れている。2002年には「ASEANプラス1」体制を発足し、2005年には東アジアサミットの原参加国となった。シン首相はASEAN、中国、日本、韓国、インドが共同市場を構築する「アジア経済共同体」構想も打ち出した。
今回インドがユドヨノ大統領を手厚く歓迎したのには、2つの思惑がある。まずインドはルックイースト政策をアジア太平洋に融け込み、「アジアの世紀」に加わるための「直通列車」にしたいと考えている。ルックイースト政策はアジア太平洋戦略へと発展しつつある。次に、自国の経済発展の推進がある。急速な経済成長を遂げるインドは、インドネシアの資源と投資機会を非常に重視している。インド企業はすでに空港、鉄道、造船所、炭鉱などの建設でインドネシア側と多くの契約を締結している。過去5年間に両国間の貿易額は3倍の120億ドルに増加した。今回両国はこれを2015年までに250億ドルに引き上げるとの新たな目標を定めた。
「人民網日本語版」2011年2月11日