パブリック・ディプロマシー:自分で敵を創作すべきではない

パブリック・ディプロマシー:自分で敵を創作すべきではない。

タグ: パブリック・ディプロマシー

発信時間: 2011-02-17 16:30:11 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 米上院外交委員会は15日、「米国のもう一つの赤字:ネット時代の中国と米国のパブリック・ディプロマシー」と題する報告書を発表した。近年米国に対する中国のパブリック・ディプロマシーが顕著な成果を上げているとして、対中パブリック・ディプロマシーの強化を促す内容だ。

 報告書はパブリック・ディプロマシーについて「各国政府が直接他国の公民と行なうコミュニケーションや交流による外交の実践であり、言葉または行動によって本国に関する特定のイメージまたは態度を外国の公衆に伝達または投射することが目的」と定義。パブリック・ディプロマシーという言葉は1965年に米国で最初に使用されたが、05年以来中国は米国を上回るパブリック・ディプロマシーを行なっているとしている。

 また「米政府は数十年来一貫して政治的、経済的、戦略的理由から対中外交を重視してきたが、大多数の米国人は外交面では欧州や中東の問題により関心を寄せてきた。だがピュー・リサーチセンターの最新調査では、アジアが初めて欧州を上回り、米国人が最も関心を寄せる地域となった。その中心は明らかに中国だ」と指摘している。

 報告書は「米国は中国にもっと注目すべきだ。我々の国家と経済の安全の強化に必要であるのみならず、海外市場における中国との競争力の向上にも必要だからだ。力強い中国のパブリック・ディプロマシーと比べ、米国の対中パブリック・ディプロマシーは赤字を生じている」としている。

 また「中国にアメリカンセンターは5つしかないが、米国には孔子学院が約70校あり、中国の言葉、文学、文化、芸術を教え、米国人の対中理解を深めている。中国の主催した2008年北京五輪と2010年上海万博は観衆や来場者を大勢引き寄せた。前者は中国を世界に紹介し、後者は世界が中国を訪れた。上海万博米国館は組織の多忙さゆえに米国の科学技術水準を示すことができず、そのローテク展示が米国内で批判された」としている。

 報告書は「今後50年で中米間の競争は過去のものに似た、同盟国と世界に対する影響力の競争になる。こうした競争が経済分野から軍事中心へ移行するか否かはまだ不明だ」と指摘。「米国の公民の中国に対する理解は限られている。理解は一部の外交官や学者に限られている。我々の学校で中国語を学んでいる学生の数は十分でない。米国で学ぶ中国人学生は毎年13万人いるが、中国で学ぶ米国人学生はその10分の1しかいない」「中国で学ぶ米国人留学生の数を増やすことは、米国の国益にとって極めて重要だ。将来の試練に対応するために十分なビジネス、学術、政策の専門家を確保するのは、このことによってのみ可能だからだ」と、中国との競争に備えてない自国を批判している。

 報告は「我々が引き続き中国と競争し、また競争力を備えることを望むのなら、教育交流、パブリック・ディプロマシーのプラットフォーム、放送といった対中パブリック・ディプロマシーへの関心を速やかに高める必要がある」と指摘。対中パブリック・ディプロマシーへの財政支援を政府と民間に呼びかけている。

 この報告書について、あるアナリストは中国の影響力があらゆる面で高まっていること、特にソフトパワーの強化が顕著な成果を上げていることへの米政界および社会の焦りを強く反映したものだと指摘する。米政界には、この報告書によって、中国の文化的影響力への対抗措置の必要性を政府と公衆に訴える意図がある。ここで指摘しておく必要があるのは、対中パブリック・ディプロマシーの赤字を補い、米中の民衆間の交流を強化するためには、米国は他者を非難するのではなく、もっと自らに原因を求めるべきだということだ。

 注意すべきは報告書が米中の競争を冷戦時代の米ソの競争と同列に論じている点だ。これは米中関係の受け止め方における憂慮すべき傾向の表われだ。冷戦はとっくに終結したのに、一部の人々には依然冷戦思考が残っており、しかもこれによって「新世紀の冷戦に対処」し、外交政策の策定に影響を与えようとしている。これは遺憾なことと言わざるを得ず、その結果は自分の中で敵を創作するだけだ。

 「人民網日本語版」2011年2月17日
日本人フルタイムスタッフ募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで

コメント

コメント数:0最新コメント

コメントはまだありません。