ロシアと日本が領土問題でもめている南千島諸島(日本称:北方領土)、双方の話し合いは意見の食い違いから難航し、泥沼にはまってしまった。一昔前であれば、話し合いがこじれた時には、拳で解決していた。ロシアと日本の関係がこれから先、どんなに悪くなったとしても、今の時代、武力行使はないだろう。しかし、ここで両国を純粋に軍事力の面から分析し比較してみたい。
地理的に見れば、南千島諸島はロシアが持つ鎌形のナイフのように、日本を頭上から狙っている。南千島諸島の黒島(日本称:国後島)と日本の根室市、別海町、中標津町などは海を隔てて向かい合っている。この地理的な特徴は、日本にとって軍を出動させ島を占領するのに有利である。ロシアの専門家は「南千島(日本称:択捉島、国後島、色丹島、歯舞島)から日本に攻められたら、4日間守るのがやっとだろう」と言う。
南千島に駐在しているロシアの陸軍状況から見ても、日本とロシアのレベルには確かに差がある。ロシア側によると、南千島には「第18機関銃・砲兵師団」のたった一つの陸軍師団しか駐留していない。一方、日本は北海道に師団と旅団を二つずつ、約4万人の陸上自衛隊持ち、90式戦車などの主力戦車も装備している。数からしても、装備からしても、日本側がロシア側を圧倒していることは明らかである。
南千島と北海道は海を隔てているため、日本は海空戦力を以って空と海を押さえた上で突撃隊を送り込まなくてはいけない。日本はこの点をクリアできるのか。
日本が北方領土を完全にものにしようと思うなら、空の軍事力だけでは役に立たない。すばやく制空権を掌握すると同時に、陸上の軍事力もすぐに投入しなければならない。駐在している重装備の戦車などよりも、空から陸軍部隊を投下し突撃するのが効果的だろう。しかし、日本で空挺作戦を展開する能力を持っているのは「第1空挺団」だけであり、北方領土からは1000キロも離れた千葉に駐在している。欧米から見れば、この部隊は旅団ほどの大きさしかなく、部隊の人数は1900人ほどで、しかも軽装備である。北方領土には飛行場が無いため、戦力の投下も物資の補給もこの部隊が頼りとなる。