▼放射線が災害を拡大
マグニチュード9.0の東北関東大震災で、東北地方沿岸部一帯が地震と津波により押し流され、経済的な損失は計り知れないものとなっている。死者は1万人、家を失った人は10万人を超える、歴史的な大惨事となっている。
日本政府が発表した大まかな損失報告によると、福島原発事故を除き、東北地方だけで家屋や工場、道路、公共施設の損壊による経済損失額は16兆~25兆円(約1850億~3080億ドル)に上るものと見られている。損失額は1995年に起きた阪神大震災の9兆6千億円(1千億ドル)、2005年に米国を襲ったハリケーン・カトリーナによる被害額1250億ドルを上回り、経済的損失が過去最大の自然災害となる見通し。
ただ、この損失額の中にはまだ東京の計画停電や、東京電力の福島原発による被害額は計上されていない。放射線に食品や水、水産品や農産物が汚染され、東京に住む人々の健康に脅威をもたらしているだけでなく、東北地方の農業や水産加工業全体に壊滅的な打撃を与え、放射線による脅威から逃れるため、数十万人が避難している。そしてすでに一般的な災害復興或いは経済が回復するかという国家の問題の域を超えている。
▼福島原発は今後どうなるか?
菅直人首相は、「戦後最大の危機」と述べたが、日本の朝日新聞元主筆の船橋洋一氏は、日本社会全体を動揺させ、日本があらゆる問題に直面している点において、「個人的には、日本史上最大の危機だと思う」と語った。
船橋氏は、今回の地震は最も劇的な方法で世界に日本の最大の弱点を暴露したと指摘する。これは単なる自然災害ではなく、日本の命運を決める危機だといえる。高齢化、原子力エネルギーへの依存、地方の過疎化などの問題が全て暴露されてしまった。「今回の地震は顕微鏡で日本社会に存在する弱点を洗いざらい見せてしまった」。
それに比べると、経済的損失は想像するほど巨大ではない。なぜなら経済復興それ自体はそれほど難しくはないからだ。「V」字型だとか、「W」字型だとかいうが、福島原発事故後の日本がどうなるかを予測する人はいない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年3月30日