韓国と朝鮮は29日、韓国の京畿道で、白頭山(中国名長白山)火山問題について、専門家級会議を開いた。これは、2010年11月の延坪島砲撃事件発生後、初の民間交渉であるため、世論が注目を寄せている。アナリストは「韓国と朝鮮の交渉が難航する中、『天安号』沈没事件が一周年となり、その背景や、朝鮮漁民の送還問題の解決を通じて、双方は、お互いに相手の態度を確認し合いながら、突破の糸口を探りあっている」と見ている。
29日、韓国と朝鮮による白頭山(長白山)火山問題に関する専門家級会議は、予定通り開催された。これは、一部の専門家が、最近白頭山付近から二酸化硫黄が絶えず噴出されていることから、2014年から2015年の間に、火山噴火をする可能性が高いと見ていることに合わせて、開かれたものだ。このほか、朝鮮は4月に再び専門家会議の開催を提案した。これに対して、韓国は、出来るだけ速く回答すると積極的な姿勢を示した。
最近の双方の関係発展では、緊張状態が続いているものの、比較的緩和の兆しも現れているとされている。
「天安号」沈没事件一周年を迎えて、韓国では記念活動を行うと共に、陸海空軍事演習も実施した。これについて、韓国の報道機関は「これは国内の人心を落ち着かせるためだ」としている。一方、朝鮮側は韓国の動きに実質的な反発はしなかった。
また、朝鮮漁民の越境問題の解決について、双方は異なる点を残し、共通点を見出すという姿勢を見せている。27日、韓国は50日間拘留していた朝鮮漁民31人のうち27人を朝鮮に送還し、朝鮮に帰りたくないとされる4人を送還しなかった。これに対して、無条件に全員の送還を主張してきた朝鮮は、拘留された漁民の家族の気持ちを考えるとして、27人のみの送還を認めた。
朝鮮の前向きな態度とそれに応える韓国の態度。これは双方が求めている結果だと見られている。朝鮮側からすれば、安定的な半島情勢を必要としている。朝鮮最高人民会議常任委員会によると、第12期最高人民会議第4回会議が4月7日に平壌で開催され、年度予算や関連人事などが採択されることになっている。また、カーター元米大統領が4月に再び訪朝する可能性があると見られている。これについて、世論は、「朝鮮の核問題交渉が難航している中、カーター元米大統領の再度の朝鮮訪問は、朝鮮とある程度の接触を保ちたいというアメリカ政府の態度の表れだ」とされている。
一方、韓国側では、今年に入って以来、李明博(イ・ミョンバク)大統領には国内からの圧力が強くなっている。物価の高騰、口てい疫の拡大、河川の整備工事問題などが、相次いで発生し、政府は対応に追われている。このような状況のもと、イ・ミョンバク政府は、韓朝関係に関しては朝鮮を刺激しないという態度を取っている。それどころか、イ・ミョンバク大統領は、数回にわたり「今年は朝鮮が態度を変える良いチャンスだ」、「朝鮮がもし態度を変えれば、援助を提供する」、「必要があれば、首脳会議の開催も考慮する。しかし、朝鮮は責任のある態度を示す必要がある」などの態度を表明した。
韓国と朝鮮が糸口を見つけ、哨戒艦天安号沈没事件以来の難局を打開できるかどうかが注目されている。
「中国国際放送局 日本語版」より2011年3月31日