シンガポール紙「聯合早報」は29日、「日本の災害を解読」と題した文章を発表した。抜粋は次の通り。
日本の今回の災害による経済や金融への影響を分析する際、過去の前例を参考にするのは自然な成り行きで、1995年の阪神大震災を例にあげる人は多い。しかし、阪神大震災を参考にできる点はあるが、被災後の日本の将来を分析する上では限界がある。日本や国際社会がこの前例に頼り過ぎると、適切な政策が打ち出せなくなる可能性がある。
▼阪神大震災を前例にするのはよくない
災害による人命や財産の損失にしても、被災後の復興のための政府からの大規模な支援金にしても、今回の震災と1995年の阪神大震災には似た点が多い。そのため、阪神大震災を参考に、災害による日本経済や世界経済への影響、2011年の日本経済はV字型の急激な回復を見せるなどと経済学者が予測し、各国の首脳に過度な反応を示さないよう、今回の災害による世界経済への影響は一時的なもので、好転すると警告している。このため政策を制定する際には現象を「見通して」いるはずだが、こうした比較は災害による日本国内や世界に影響するリスクを低く評価することになる。その結果、日本は政府から企業、家庭や個人にいたるまで今回の災害の結果に対する対応が鈍くなっており、各国でも同じような現象がおきている。実際、こうした間違った判断が最終的に日本経済の力強い回復を先延ばしにすることになる。
▼回復を難しくする5つの要因