地震、津波、原発事故による日本経済の損失は少なくとも20 ~30兆円にのぼるといわれる。ハーバード大学教授で米国家経済会議前委員長のサマーズ氏はスピーチで、災害後の日本は貧しい国になるだろうと話した。このような結論を下すのはまだ時期尚早だと筆者は思う。日本経済には独自の底力があることを見逃してはならない。シンガポール紙「聯合早報」が18日付で伝えた。
◆供給チェーンの中断で日本の重要性が浮き彫りに
90年代以降、日本の世界的な影響力が下がりつつあり、日本の製造業は20世紀のように勢いはなくなっているといった日本に対するマイナス的な見方が一般的だった。しかし、今回の災害による世界経済への影響は予想を上回るもので、日本が生産する部品が生産停止や減産に追い込まれたことで、世界の生産チェーンが途切れるか被害を負う事になった。米GMの一部の工場は生産停止を余儀なくされ、フィンランドのノキアの携帯電話の生産も一時中断、米アップルの世界的な人気を誇るiPadの生産にも懸念が及んでいる。
これをどう説明するのか?過去10年間、日本経済の構造転換が基本的に成功し、日本経済の粘り強さが強化されたことを意味する。
2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟後、日本企業はこぞって中国投資に力を入れた。それは日本国内の「産業の空洞化」が憂慮されるほど白熱したものだった。まさにこの10年間で日本企業は従来の製品の豊富さ、幅広い分野をカバーできる方式でもって技術第一を追求し、日本にしか生産できない「トップクラス」かつ「唯一」の道を歩んできた。
日本が生産する部品はあまり目立たないが、どの部品も製品のカギを握っており、どれも日本企業にしかない技術だ。まさにこうした点が日本の製造業と経済の強みとなっている。
◆日本の供給チェーンの位置は取って代わられるか