■ビンラディンなき後、米国とパキスタンはどう協力するのか
アフガニスタン以外に、パキスタンにも様々な問題がある。
米軍はパキスタン当局に通告しないまま直接ビンラディンの居場所を急襲し、成功を収めた。これによって両国間の対テロ協力は終りを迎えたのかという大きな疑問が生じた。
これまでの情報ではずっと、ビンラディンはパキスタン北西の国境地帯の山間部に身を潜めていると思われてきた。同国の首都からわずか30マイルの軍事的要衝アボダバードに平然と身を隠していたという事実に人々は驚いた。このため米国社会ではここ2日間「パキスタン政府・軍はビンラディンに関する真の情報を一貫して入念に隠蔽してきたのではないか?さらには様々な面でビンラディンを陰で支えてきたのではないか」との疑問の声が噴出している。
パキスタン側は無人機で市民を殺害したり、パキスタン国内で特殊部隊による暗殺を行うという米国の手法に上から下まで強く反発し、主権や社会的安定を軽視し、脅かすものと受け止めている。今回また通告されないまま、国内に深く入り込んでこのような重大な行動を起こされたことが、パキスタン側にとって非常に具合の悪いことであることは間違いない。
スティーブン氏は、米国とパキスタンの関係はここ10年間で最も冷え込んだと指摘する。双方間には対テロにおいて信頼の不足や主権上の懸念などの溝が存在する。だが対テロやアフガン・パキスタン国境地帯の安全問題で利益を共有してもいる。「両国は自らの戦略目標をより透明にし、対テロ協力分野をより明確にすることで、この危機を乗り切るべきだ」とスティーブン氏は指摘する。
「人民網日本語版」2011年5月5日