外交官である私は外国との交流や各種シンポジウムに出席する機会がよくある。そうした中、近年外国人に最もよく尋ねられるのが中国の台頭に関する質問、例えば「中国はどのように台頭するのか?」「中国は平和的台頭を実現できるのか?」「中国は台頭した後に何をするのか?」などだ。私はこうした質問に対する回答を「中国の台頭は容易ではない」「中国は他国のモデルを模倣しない」「中国は現行の国際体制の転覆を謀らない」の3つの「ない」にまとめたい。(文:楽玉成・外交部政策計画司司長。「環球時報」掲載)
■中国の台頭は容易ではない
中国は非常に特殊な国だ。私は以前スローター元米国務省政策計画局長に中国の特徴を次のように説明した。中国は世界で最も豊かな国の1つであると同時に、最大の発展途上国でもある。歴史上、このような国が存在したことはなかった。中国の特徴は以下の点にある。5000年の文明、13億の人口(米国4つ、またはEU3つに相当)、960万平方メートルの国土(世界第3位)、世界第2位のGDP、過去30年続いた2ケタ成長、国連の貧困基準(1日1ドル)以下の1億5000万人の国民、8000万人の身体障害者(ドイツ1国に相当)。このように規模が巨大かつ国情の複雑な国で変革と発展を達成し、同時に長期安定を維持することは、実に容易ではない。
新中国成立から60数年間、中国は内戦をせず、対外戦争を発動せず、海外を植民地化せず、金融・経済危機を起こさず、大量の中国難民を生まなかった。工業化、都市化、現代化の過程でもたらされた全ての問題は自国内で解決しなければならず、誰にも迷惑をかけなかった。56民族の13億人は仲睦まじく暮らし、世界と調和ある共存をし、60年以上安定と発展を保った。特に過去30数年間は急速な成長を遂げ、GDPで世界第2位となり、世界にかつてない発展のチャンスをもたらし、人類の平和・発展事業にかつてない多大な貢献をした。これは大変な進歩と成就であり、とても容易なことではない。
だが少なからぬ西側の人々は中国の成就に目を向けず、常々中国を非難し、さまざまな厳しい要求をしている。完全に矛盾しているものさえある。彼らは中国に▽西側の商品を大量に輸入する▽より多くの西側の会社に中国でより多く儲けさせる▽人民元を大幅に切り上げて彼らの国内の雇用問題の解決を助ける▽先進国の基準に沿って環境を保護し、排出削減義務も担う▽西側の要求に基づいて彼らの指定する某個人のいわゆる人権を守る??等々を要求している。多くの中国人には到底理解できない。なぜ一部の国は中国に自国製の自動車や飛行機を多く購入するよう求める一方で、中国が外国から石油や天然ガスを多く購入することは許さないのか。なぜ自国の国債を多く買うよう求める一方で、その持続的な通貨切り下げの受け入れも求めるのか。なぜ西側諸国からの輸入を拡大し続けるよう求めながら、実際に購入できるのは飛行機や大豆など指定された商品だけなのか。こうした要求が現在の中国のような発展水準にある国にとって実行不可能であることは明らかだ。これを中国の諺で「草を食べさせずに馬を走らせることはできない」と言う。外国の方々は非難ばかりするのではなく、中国の発展についてもっと理解し、支持してもらいたい。
■中国は他国の発展モデルを模倣しない