人民日報傘下の国際情報紙「環球時報」はこのほど、「われわれが中国の13億3000万人を軽視できない理由」と題する9日付英紙の記事を紹介した。概要は以下の通り。
温家宝総理の先日の訪英は、中国が世界市場への支配力を強める中で行われた歴史的出来事だ。経済・貿易関係の視点から見ると、約14億ポンドに上る貿易合意の締結は間違いなく成功だ。だがドイツと中国の貿易合意の方が価値があったとして、妬みを覚える批評家もいる。
われわれにとって重要なのは、ますます豊かになる中国人の購入意欲を刺激するような商品を製造することだ。現在の対中貿易の不均衡状態は変えなければならない。温家宝首相は次の五カ年計画では国内成長・消費の促進、中国経済の一層の国際化に力を集中すると表明した。13億3000万人の人口を擁する中国は世界最大の人口大国だ。中国内外のビジネスマンにとって、こうした数字は軽視できないものだ。英国の投資家も例外ではない。利益は消費需要から生じるが、欧米や先進諸国には、消費成長を促進するこうした若年層がいない。また、欧米の政府や多くの市民は多額の負債を抱えているし、欧米の通貨にはこうした力もない。
自由民主主義社会の公民として欧米人は、「常規」に挑戦する反体制派への中国政府の扱いに対して確かに意見を保留している。だが私が10年前に中国を訪問した際の印象では、われわれは中国のやり方を見下すかもしれないが、大多数の中国民衆は自国のやり方を承認している。しかもその弊害は利点の前では取るに足らないことのように見える。
私が見たところ、英国の問題の1つは5年ごと、さらにはそれよりも短い間に政権を交代させることができるし、しばしばそうしていることだ。熟考せずに政権を交代させることすらある。一方、中国には歴史の発展を踏まえた五カ年計画がある。しかも各五カ年計画間には連続性がある。中国は前進の方向性を明確にできるが、英国ではほぼ不可能だ。
対中投資は苦難やコスト上昇のリスクに満ちている。だが私は10年前に訪中した際、メルセデス、アウディ、BMW、ロールス・ロイスなどドイツの対中投資を随所で目にした。最新の合意は英国産家禽・豚肉の対中輸出を認めるものだが、これは決して私が望んでいた品目ではない。少なくともわれわれにはまだ、中国製航空機から切り離せない、ロールス・ロイスの航空機エンジン製造業がある。
工事や特殊分野の企業は中国に自らの市場を見出すことができる。こうした企業に投資することで、英国人の資産家は自国のメーカーでは生産できない高品質の製品への中国人の渇望から直接利益を得ることができる。ビジネスマンも投資家も、一夜にして財を築こうと考えるのは現実的でない。真の脅威はチャンスとその中に潜むリスクを軽視することだ。宝くじと同じで、資金を投入しなければ勝つ可能性はない。
「人民網日本語版」2011年7月13日