リビアがすでにポスト・カダフィ時代に入ったことに疑いの余地はない。カダフィは依然各種ルートを通じて「声明を発表」し、戦闘継続を呼びかけ、軍隊を集結して首都トリポリを奪還すると高言しているが、余り真に受ける者はいないようだ。リビア反体制派はすでに自らの「建国大業」を開始している。そして反体制派の勝利を手助けした多くの西側諸国はリビア復興の美しい仮面の下で、利益の山分けを始めている。ポスト・カダフィ時代のリビアは一体何に直面するのか?「人民日報海外版」が伝えた。
西側諸国は口を開けば「リビア市民の安全を守り」、リビアの未来はリビア人自らが決定すべきだと言っているが、実際はどうだろうか?国連の飛行禁止令1つで、リビアの空はリビアのものではなくなった。過去数カ月の間、北大西洋条約機構(NATO)の戦闘機がリビア上空を旋回し、ある国々の特殊部隊がリビアの土地を直接踏んですらいる。
戦火がまだやまないうちからフランスはパリでのリビア復興会議を鳴り物入りで準備し始めた。「市民を攻撃から守るために必要なあらゆる措置を講じる」権限を加盟国に与えた国連安保理決議第1973号の条項が、さらに意味合いを変えてきているとの指摘もある。もう少しはっきり言うなら、パリ会議の背後にあるのは西側大国主導のリビア復興なのだ。「どこにリビア人民の決定権があるのか?」との問いを発せざるを得ない。
リビア復興は当然のことだ。半年間の戦火に蹂躙されたリビア人民にとって、復興とは美しい郷里を意味する。だが西側諸国にとって、復興とは見過ごせない莫大な利益なのだ。BPエネルギー統計レポート2011年版によると、リビアの原油確認埋蔵量は464億2000万バレルで世界9位、世界総量の3.4%を占める。天然ガス資源も比較的豊富で、確認可採埋蔵量は1兆5000億立方メートルでアフリカ4位、世界総量の0.8%を占める。リビアの戦後復興は石油採掘、インフラ建設分野の巨額の契約を意味し、うま味が極めて大きいのだ。フランスは軍事衝突に積極的に介入し始めた当初から、「未来への投資だ」と公言していた。衝突の間、先頭に立つことを常に避けてきた米国さえも、巨大な利益を前に態度を変えた。パリ会議にクリントン国務長官をトップとする高官チームを派遣したことは、虎視眈々たる米国の姿勢を十分に物語るものだ。ロシア紙・コメルサントは「パリ会議はこの北アフリカの石油大国の西側諸国による『山分け』の開始を知らしめるものだ」と遠慮なく指摘している。
現状を見ると、政治的にも経済的にもリビア人民が自らの主となるのは困難だ。これは新植民地主義を容易に想起させる。さらに深刻なことに、アフリカの多くのエリートは、アフリカ問題の解決においてアフリカ連合(AU)などの組織が片隅に追いやられたことを憂慮し始めている。アフリカが再び植民地状態に陥ることを心配しているのだ。西側諸国が軍事的圧力によって外国の政権を変えてもよいと信じた場合、リビアモデルが他国でも繰り返される恐れがあると指摘する専門家もいる。
最も苦しんでいるのはやはりリビア民衆だ。リビア「国民評議会」のある指導者は先日、リビア戦争の死者がすでに5万人に上ったことを明らかにした。リビア人民は現在、水不足、食糧不足、石油不足という厳しい状況に直面している。彼らが最も必要としているのは、国連の主導の下で、AU、アラブ連盟、イスラム協力機構(OIC)などが緊密に協力し、郷里の再建を支援することだ。
「人民網日本語版」2011年9月7日