文=鳳凰網評論家 俞天任氏
民主党の前原誠司政調会長は8日、米ワシントンで講演し、「手が足りない米国の穴を埋め」、安全保障問題において米国の力になり難題を解決する意欲を示した。前原氏は、(1)自衛隊の国連平和維持活動(PKO)など海外派遣について、行動をともにする他国部隊が攻撃された際に武器を使用して反撃できるよう武器使用基準を緩和すべき (2)日本の武器輸出を禁止する「武器輸出三原則」の見直すべきとの2つの具体的な提案をした。
◇日米、防衛責任をめぐる陰の張り合い
集団的自衛権と武器輸出に関する主張は何も新鮮なことではない。日本はここ数年ずっとその見直しをしたがっている。前原氏が指摘するように、米国は現在確かに手が足りなくなっている。オバマ政権は、2023年までに4000億ドルの国防予算を削減する計画を発表した。そうなると、軍事面、財政面で穴ができる。米国はこれまでよりもさらに強く日本にこの穴を埋めるよう要求するだろう。もともと「親米」で知られる前原氏がこのチャンスを逃すはずがない。
この2つの問題は日本の内政であって、はるばるワシントンまで出かけて講演する必要はない。米国まで行ったのは、この発言は実際には実現不可能だからだ。米国は朝鮮戦争以後、日本に防衛責任をもっと負担するよう圧力をかけていたが、吉田茂内閣以降、日本政府は敗戦を理由に防衛責任の負担を拒絶し、防衛を世界の警察である米国に任せてきた。この問題をめぐり日米はずっと陰で張り合ってきた。しかも、民主党内には前原氏のような強硬派はいるものの、強硬でない派閥の勢力もそんなに小さくない。前原氏のワシントンでの発言直後、一川保夫防衛相は「そんなに簡単ではない」と表明。藤村修官房長官も「前原氏はずっとあの意見だが、あれは前原氏の個人的な意見に過ぎない。しかも皆、前原氏の個人的な意見を取り合っていない」と述べた。
◇前原氏の主張は実現不可能