米同時多発テロから10年、中国は対外政策においてより先鋭な一面を示している。中国は特に東南アジアとその周辺地域の問題への関与と影響力を拡大した。この意味において、中国は米政府の関心のシフトを利用したと言えよう。だがこのために中国も重要地域(中央アジアなど)への政策を調整しなければならなくなった。これらの地域で米国は対テロ戦争のおかげで、重大な戦略的価値を備える影響力を獲得し、対中国包囲網を強化した。中央アジアが重要なのはエネルギーがあるからだけでなく、貿易や安全保障上の意味からもだ。中国は主要貿易パートナーである欧州と自国を結ぶ中央アジア回廊のもたらす危険の分散を切望している。
米同時多発テロ後、中国はソフトパワーや軍事・戦略能力も高めたが、米国にとって差し迫った脅威となる段階にまでは達していない。軍事・戦略面の実力は注視が必要とはいえ、特にそうだ。いずれにせよ中国政府にしてみれば、欧米の衰退を過大評価することは、いずれも誤りだろう。
対テロ戦争によって米政府は中国を抑え込む反論困難な理由を手に入れた。これは当時も現在も、米政府にとって戦略上の最大関心事だ。だが中国の巨大な潜在能力を外部から抑え込むのは困難であることが、事実によって徐々に明らかになっている。領土と人口の規模、そしてその外交関係の多様性において、中国の対応能力は米国による抑え込みの力と匹敵、もしくは凌駕している。
周知のように、中国が21世紀の超大国となるのを真に、効果的に阻止できる唯一の方法は、その内部プロセスの破壊、すなわち領土を分割する、もしくは主権と政治的安定を破壊することだ。だがこれは容易ではない。
「人民網日本語版」2011年9月15日