■退任した指導者の回想録出版は政治の進歩性の表れ
『マイ・ドリーム/バラク・オバマ自伝』『リビング・ヒストリー/ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』『マイライフ/クリントンの回想』など、欧米では政府要人の回想録が次々に出版されている。それと比べ中国の元指導者は控え目に映る。南方日報が伝えた。
中国では1980年代に薄一波・中共中央顧問委員会副主任(当時)が口述と資料を組み合わせて著した『建国以来の若干の重大事件の回顧』が、その嚆矢とされている。これは1338ページの大著で、1949年の「北京・天津接収」から1966年の「文化大革命」前の経済・社会発展に関する党と政府の重大な政策の決定過程、およびいくつかの重大事件の経緯について叙述している。個人の回想と資料を結びつけた研究の産物であり、「党内の重大な先駆的試み」と称賛されており、党と国の歴史の研究にとって重要な参考価値を持つ。
中央党校党史部副主任の謝春濤教授は「わが国民衆の民主意識の高まりに伴い、国の重大な政策決定は指導者だけでなく、各個人の生活に密接に関係するものとして、その歴史的背景、内情、およびそれに基づく将来の動向の予測への関心も高まっている」と指摘する。
その後、李鵬、李瑞環、李嵐清の各氏も個人的な日記、回想録、その他著作を次々に著した。
『李鵬三峡日記』は首相を務めた李鵬氏の1981年から2003年6月までの日記で、三峡プロジェクトを全面的に描いた最も権威ある著作だ。李鵬氏は300万元にも上る原稿料を寄付した。
李嵐清氏は『李嵐清教育に関する訪談録』(中国人民教育出版社、2003年12月)と『李嵐清音楽随筆』(高等教育出版社、2004年9月)を著した。李氏本人はプロの音楽家ではないが、クラシックの名曲への数十年来の愛好と理解、音楽が人生に与えてくれる啓示を洗練された文章で表現。「音楽には直接心を打つ力があり、生活に一層の情趣を添え、思考をより創造的にし、仕事をより効率的にし、指導をより芸術的にし、人生をより豊かにしてくれる」と指摘した。
2003年には銭其シン氏も『外交十記』(世界知識出版社)を著した。同書は日本語版、英語版なども刊行された。銭氏はその原稿料70万元を外交学院に寄付した。
2009年には『朱鎔基、記者の質問に答える』が刊行された。2011年9月の『朱鎔基談話実録』は朱鎔基氏の副首相、首相在任時の重要談話、文章、書簡、指示など348篇を収録している。
■指導者の著書は増えていく