米国の「回帰」は少なくとも2つの面で試練を抱える。
第1に、中国との付き合い方をどう身につけるかだ。米国の「アジア回帰」を受け、中米衝突関連の議論が一層活発化している。欧米の少なからぬ学者は、米国の覇権に挑戦する可能性があるのは中国の台頭のみだとして、地域問題での主導権の再表明は中国をにらんだものだと考えている。また、特に米国の軍事力を借りて中国とのいわゆる戦略的均衡の形成を望むアジアの国もごく一部ある。米政府がこうした考えを「アジア回帰」の戦略基盤とするのなら、中米関係はゼロサムゲームの危険に直面し、米国はアジアの発展から利益を得られないばかりか、地域の安全保障問題でプラスの役割を発揮することも難しくなるだろう。
第2に、リーダーシップを発揮するには雄壮な志だけでは不十分だ。アジアにおける米国の地位は結局は現実的投入によって決まる。こうした投入は地域の経済成長と各分野の協力を促す建設的な力でなければならない。軍事的プレゼンスによって代替不能な自らの価値を誇示するというのは、もう通用しない古い道だ。アジアの一部の学者は「リーダーシップの発揮を望みながらその力がなくなれば、米国はさらなる『保護費』を請求するのではないか?不名誉な手段を講じてもめ事を引き起こすのではないか?」と懸念している。
アジアにとって発展は大勢の赴くところ、人心の向かうところである。アジア諸国は発展に従い近づくのみであり、遠ざかることはない。アジアの舞台は十分に広く、米国の「アジア回帰」に不足しているのは活動の余地ではない。喫緊の課題は心の持ちようを正し、「帰ってきて」一体何をするのかをはっきり考えることだ。
「人民網日本語版」2011年10月17日