資料写真:天安門広場での軍事パレードに姿を見せた通常ミサイル「東風21C」
ロシア「核脅威イニシアティブ」(NTI)は17日、「ロシアと中国は共に核兵器に新たな能力を持たせるための近代化を進めている。米国の専門家の一部はこれによって米国の戦略的抑止力が低下すると考えているが、反対の声もある」との記事をウェブサイトに掲載した。人民日報傘下の国際情報紙・環球時報が伝えた。
記事は米・国家公共政策研究所(NIPP)のシニアアナリスト、マーク・シュナイダー氏の話として「核兵器の近代化とその軍事戦略上の位置づけにおいてロシアと中国には大きな類似性がある。両国共に『核戦略の三本柱』の各要素の現代化を進めている。『核戦略の三本柱』とは大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、爆撃機という核兵器投下の3方式を指す。米国同様、ロシアもこの3つの核兵器運搬手段を持つが、中国がSLBMによる核攻撃能力をすでに保有しているかどうかは定かでない」としている。
■中国は長距離核ミサイルを75基保有、米国は北東アジアでの抑止力を失う可能性
記事は「中国は現在、戦略ミサイルの質的、量的改善を進めている。米国防総省は2011年度の中国軍事力報告で、中国は最多で75基の長距離核ミサイルと120基の中・短距離核ミサイルを保有するとしている。中国はさらに、地上移動型ICBMの開発も進めているようだ。これは東風31、東風31A型移動式ミサイルと共に中国の弾道ミサイル力を構成する。中国人民解放軍は昨年、ミサイル部隊に新型ICBM25基を配備したと見られている」としている。
米国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー研究員は「中国が、強化を続ける長距離戦略兵器と空軍力および弾道ミサイル防衛システムを結びつけた場合、米国は北東アジアで抑止力を失う可能性がある。中国が新型の多弾頭ICBMとSLBMの配備を急いでいることは非常に重要だ。中国が新型中距離弾道ミサイルを開発しているとの報道もあった。このミサイルは2014年に実戦配備される。地上発射型巡航ミサイルの数も大幅に増やされる」と指摘する。
マイケル・ターナー米下院議員は「国防総省の機密報告に大きな懸念を抱いている。報告によると、中国は核兵器開発の状況を隠すのに役立つ長さ3000マイルの巨大なトンネルシステムを建設している。中国とロシアが核兵器の近代化を進めている時に、米国は行動を起こさず、すでに老朽化した核兵器を単に維持しているだけだ。こうした状況のもたらしうる結果について、われわれは知る必要がある」と述べた。