日本の玄葉光一郎外相は10月中旬、東南アジア諸国連合(ASEAN)3カ国を訪問した。日本の共同通信社は今回の訪問の目的について、「日米関係を基軸としながら、アジアの民主国家との協力を強化し、勢いを増す中国を牽制するのがねらい」と伝えた。野田外交がついにはっきりした輪郭を見せ始めた。
何人かの前任者と同じく、政治基盤が不安定で十分な権威に欠けるため、外交・内政のいずれにおいても野田氏は「理想」に乏しい。彼にとっては政権安定が最も核心的な目標なのだ。
◇米国とうまくつきあう
野田氏は当然対米関係の利害を承知している。首相就任前に雑誌に投稿した「私の政権構想」と「私の政治哲学」は米政界・学界の高い評価を得たという。その中で、日米同盟の基軸的作用を強調している。首相就任後は基本的に米国の要求を極力満足してきた。
先月末、野田氏とオバマ大統領が米国で会談した際、オバマ大統領は多くの要求をつきつけ、特に中日韓自由貿易協定(FTA)の協議、欧州との経済連携協定(EPA)に不満を示した。帰国後、野田氏の対米外交はかなり積極的になり、11月のAPECで米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)に参加するかを表明するとしたほか、普天間基地移設問題では閣僚が何度も沖縄に飛び、年内に基地移設に関する環境評価報告を提出し、米国側に努力しているところを見せる方針だ。米国をさらに満足させたのは、米国産牛肉の輸入制限を緩和したことだ。こうした対応は、米国との関係をうまく処理すれば、外交上、その力を借りて思うままに振舞うことができると考えているからだ。
◇中国経済は利用、政治的には牽制