資料写真:フィリピン軍の海兵隊と揚陸艦
東アジアサミットが19日に開催された。南中国海問題は議題にすべきでないと中国が明確に指摘したにも関わらず、フィリピンと米国はその反対の方針を明らかにしている。インドと日本もこの陣営に加わる構えだ。オーストラリアへの軍駐留と南中国海への介入という米国の姿勢によって、すでに事態はかき乱され、アジアでは近年まれに見る大国の立場の衝突が生じている。フィリピンは米国を地域安定のパワーとして称賛しているが、インドネシアは米国の軍艦が自国の海域に出入りすることを懸念している。あるフランスメディアは「ASEAN各国は中米の睨み合いを前に身動きが取れなくなっている。彼らは本来、両大国間の駆け引きから自国の利益を最大化する空間が広がることを期待していた。だがこうした小国は、頻繁な『二者択一』に結局は手が回らなくなるだろう」と論じた。人民日報傘下の国際情報紙・環球時報が伝えた。
■日本が東アジアサミットを利用して南中国海での中国の権益に挑戦するおそれ
日本の野田佳彦首相は18日、インドネシア・バリ島で日本・ASEAN首脳会議に出席した。海洋安保が主要議題となり、「日・ASEANバリ宣言」が採択された。宣言は「南中国海における各国の行動宣言」を基線に「航行の自由と安全」を強調。「国際法の遵守」について具体的要求も示している。
日本メディアはこれに極めて大きな関心を示し、宣言について「中国に直接狙いを定めて」おり、日本とASEAN諸国が海洋安保問題で「中国と対立し」、「対中包囲網」を共同構築することを宣言するもの、との見方を相次いで示している。
米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、日本は東アジアサミットで海上安全保障問題を取り上げることも計画。記事は「野田首相は会議で海上安全保障への一層の関心をアジア各国首脳に促すことで、この問題を議題とすることに反対している中国に『微妙な方法で挑戦する』。野田首相は今週末の会議でフィリピン、インド、ベトナムの首脳との会談も予定している」「野田首相の広報官を務める四方敬之氏は17日のインタビューに『われわれは参加国が公海の自由を保障する国際ルール(特に国際海洋法)の遵守を確認することが重要だと考えている』と述べた」としている。
記事はまた「野田首相の姿勢によって中国と正面衝突が起きる可能性はあまりないが、かつて日本の軍事的役割に警戒感の強かった地域で、周辺国との安全保障関係の拡大を目指す日本の姿勢を明らかにするものだ」と指摘。「日本は数十年来一貫して米国による安全保障の下にあり、周辺国とはほぼ完全に隔離されていた。だが近年日本は、第二次大戦中に侵略・占領したベトナムやフィリピンを含む周辺国との結びつきを徐々に拡大している。2009年9月の中日船舶衝突事件後、この動きは加速しているようだ」としている。