ここ1年、米国の大統領と国務長官は2匹の忙しい蜘蛛のように、中国周辺でひっきりなしに出入りしては網を張っている。オバマ大統領がTPPと東アジアサミットで中国の「孤立化に成功」すると、入れ違いにクリントン国務長官がミャンマーを訪れて中国の足場を掘り崩すといった具合だ。(文:龍韜・中華エネルギー基金委員会戦略アナリスト。「環球時報」掲載)
クリントン長官のミャンマー訪問は表面上は苦心して築いてきた対中包囲網の補強に見える。だが角度を変えてみると、これはより深い策略を帯びている。中国にとってミャンマーは、陸地を通って太平洋とインド洋へ直接出ることのできる唯一の国だ。南中国海の表門が事実上封鎖された中、さらにミャンマーという海への出口も失えば、中国は直ちに「窒息」する。
米国にとってミャンマーの抱き込みは、決して一時の思いつきではない。早くも2009年のコーカン事件発生前から、米国の政客はミャンマー政府と接触していた。長年軟禁状態にあるアウンサンスーチー氏の選挙参加を認めたり、ミッソン水力発電所計画を突如中断したりという最近のミャンマー政府の動きは、米国の歓心を買うためのものと一般に解釈されている。弱国であるミャンマーが経済的利益より安全保障上の利益を重視するのは理解もできようが、米国への接近は得るものより失うものの方が大きい可能性が高い。クリントン長官はリビアでの勝利の余勢を駆って訪問した。だがリビア戦争はまさにカダフィ大佐が西側に和解を求め、米欧と相次いで関係を正常化した後に勃発したのだ。