政局安定、経済振興――。日本は頻繁な首相交代により「失われた10年」の後、「失われた20年」を継続している。まるで走馬灯のように交代する日本の首相だが、誰もがその座に長くととどまりたくないはずはない。現在の野田佳彦首相は昨年9月に就任後、「どじょう首相」を自称し、「平民首相」のイメージを作り上げた。政界および民主党内では「低姿勢」をとり、自民党の谷垣禎一総裁にまで、「よろしくお願いします」と頭を下げた。これは日本の政界では非常に稀なことだ。
だが「長期政権」を望むこの民主党の第3代首相も近ごろ辞任をほのめかしている。情報筋によれば、野田首相は12月中旬、首相経験者をひそかに首相官邸に招き、消費税増税関連法案が成立しなかった場合、衆院解散に踏み切り、総選挙で国民の信を問う意向を伝えたという。野田氏は会談で「首相の座に延々ととどまり続ける気は毛頭ない。ただ、消費税率の引き上げは任期中に必ず成し遂げたい」と強調した。
表面上は、消費税の引き上げのために自ら犠牲になるつもりのようだが、実際には「長期政権」を運営するのは難しいと判断し、最後の名声を確保するのがねらいと思われる。
まず民意の角度から見ると、日本世論調査協会が昨年12月に実施したアンケート調査によると、消費税率の引き上げに「反対」「どちらかといえば反対」は58%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」の40%を大きく上回った。欧州債務危機や円高を受け、日本国民は経済の見通しに不安を強くしており、消費税の引き上げを望んでいない。野田首相の身を挺した消費税増税案は日本国民の間で広い支持が得られていない。