シリア問題が国際世論の焦点となっている。安保理の対シリア決議案にロシアと中国が拒否権を行使すると、西側世界では両国を大仰に非難する声が上がる一方で、同情と支持を表明する声も上がった。中国国内でも完全には意見が一致していない。政府の決定を支持する声が多いが、保留の声もある。(文:呉建民・外交部外交政策諮詢委員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
この論争の出現は決して偶然ではない。21世紀の世界にどのような国際秩序を構築すべきかという問題に実質的に関わってくるのだ。シリア情勢の悪化は人道上の深刻な災禍を招いた。シリア人民の悲惨な境遇に国際社会は同情し、この災禍を早急に終息させなければならないという点で一致している。国連内外の論争を見ると、国際社会には2つの点で深刻な溝が存在する。
第1に、シリアの危機は軍事的に解決すべきか、それとも政治的に解決すべきか。
一部西側国は、どんなにきれいな言葉や口実を使っていようとも、リビアモデルを踏襲し、軍事的に解決しようとの意図が明白だ。だがシリア危機は複雑に入り組んでおり、軍事的に一派を支持し、別の一派を叩くやり方は、より大規模な人道上の災禍を招く恐れがある。21世紀の今日、多くの問題は武力では解決できなくなっている。これはアフガン戦争、イラク戦争、リビア戦争ですでに証明済みだ。政治的解決への道には曲折があるが、最終的な結果は衝突の双方にとって良く、シリア人民にとって良く、地域にとって良く、国際社会とっても良いものとなる。
第2に、誰が国を指導すべきかは、その国の人民が決定するのか、それとも外国が決定するのか。