中国軍備抑制・軍縮協会の黎弘秘書長は26日、ソウル核安全保障サミットの中国代表団プレスセンターで記者会見し、人民日報の質問に対し、核安全保障確保の根本策はテロの根絶だと表明した。黎秘書長の発言の要旨は次の通り。
世界の対テロ情勢は依然厳しく、時々テロ事件が発生している。テロリストは物理的破壊力が巨大で、深刻な社会的動揺と心理的パニックを引き起こす核を使った襲撃を目指している。世界には現在も大量の核兵器や核兵器製造可能な核分裂物質がある。これらの物質がひとたび散り散りになれば、テロリストにつけいる隙を与える可能性が高い。政治、経済、技術、資源など各方面の制約によって、各国の核物質の安全保護措置には大きな開きがある。民生用核物質の応用拡大、原発の増加も核安全保障にとって一定の試練となっている。
核安全保障問題の解決においては、核物質の安全強化に加え、以下の点に注意する必要がある。第1に個別対策と根本的対策を並行し、テロを生む土壌に手を入れ、テロを根絶する。核テロ撲滅の最も根本的な方法はこれだ。第2に技術革新を通じて、危険な核物質への依存を世界的に減らす。例えば高濃縮ウランを使用する原子炉を危険性の低い低濃縮ウラン原子炉へ改造する。第3に進んだ原子力安全文化によって、各国の政府、企業、学術機関、民間団体の連携モデルを構築し、テロ防止の意識と能力を高める。第4に核システムと核施設の情報システムのセキュリティも、新たな分野として注意する必要がある。テロリストはコンピュータ・ウイルスを通じて原発などのシステムに侵入し、破壊を行い、さらに原発事故などを引き起こす恐れがある。このため一定の防御措置が必要だ。
中国が現在建設している研究炉は全て高濃縮ウランではなく低濃縮ウランを使用するものだ。高濃縮ウラン研究炉を低濃縮ウラン研究炉に改造するうえで、中国にはすでに技術上の問題はない。国際社会が必要とするなら、技術支援を行う。
「人民網日本語版」2012年3月28日