米メリーランド州キャンプ・デービッドで行われていたG8サミットが19日、2日間の日程を終えて閉幕した。G8首脳はサミット閉幕後、欧州債務危機、イラン核問題、アフガン問題、シリア危機、朝鮮半島核問題、世界のエネルギー、気候変動、食糧安全保障などについて39項目からなる「キャンプ・デービッド宣言」を発表。悪化し続ける欧州債務危機を前に、米国の強く主張する成長維持と雇用創出を強調した。
オバマ米大統領はサミット後、一層の成長促進と雇用創出が不可欠と表明。ドイツのメルケル首相は成長と赤字削減の相互強化で各国首脳が合意したことについて「大きな進歩」と評価した。
19日午前の会議では欧州債務危機など世界経済の問題が重点的に話し合われた。欧州債務危機は米国経済の回復だけでなく、オバマ大統領自身の政治生命にも関わると地元メディアは指摘する。
キャンプ・デービッド宣言は冒頭から「成長および雇用の促進はわれわれにとって差し迫った課題」と主旨を表明。「世界経済は復調の兆しを示しているが、依然として深刻な向かい風が存在する」と指摘。「このような背景の下、8国首脳は経済を強化、回復し、財政上の重圧と闘うために必要なあらゆる措置を講じることにコミットすると同時に、正しい措置はそれぞれの国にとって完全に同一ではないことを認める」としている。
今回のサミットが発したメッセージは、議長であるオバマ政権の推し進める経済路線と一致する。米大統領選が近づく中、オバマ大統領再選の最大の障害は経済、雇用問題だ。議会に提出した来年度予算でオバマ大統領は新たな景気刺激策の承認を求めている。米紙ワシントン・ポストによると、オバマ大統領は同日の声明で「財政、構造改革の推進という背景の下、経済成長と雇用創出の促進に一層努力しなければならないということが現在新たな共通認識になっている」と指摘。景気刺激はユーロ圏が危機を乗り切る可能性を高めるとの考えを示した。