過去20年間、東アジアでは一度も戦争が起きていないし、東アジアの国が世界の他の国に宣戦布告したこともない。こうした平和な環境が、西太平洋地域の冷戦終結以来20年間の繁栄と発展という結果をもたらした。
しかし東アジア内部の争いが激化するにつれ、一発触発とはいかないまでも、戦争或いは小規模な軍事衝突が発生する確率が高まりつつある。ここ数年で東アジア地域の国際関係に詳しい学者100人を取材してそうした懸念がよぎった。
東アジアの軍事衝突或いは東アジア戦争に火をつける可能性のある潜在的要素は主に次の5つ:
(1)東アジア各国間で国民の嫌悪感向上
東アジア各国の国民の間で互いにマイナスの印象が強くなっているというデータがある。東アジア、特に中国、日本、韓国、朝鮮では、どの両国の国民の印象も米国に対する印象より悪い。こうした「東アジア相互の嫌悪感」が各国のナショナリズムが高揚する主な原因で、各国メディアは隣国の悪い面ばかり報道する傾向にある。ナショナリズムが東アジア各国の好戦欲をたきつけるだろう。
(2)各国中級将校の「戦争願望」
20年以上、東アジア各国は戦争に参加したことがなく、各国軍内部の中級将校の昇進が非常に緩慢になっている。東アジアの中級将校を取材すると、戦争願望がある将校が少なくなかった。勝敗に関係なく戦争は中級将校にとって最善の昇進手段となるからだ。
(3)米国の東アジア地域における「オフショア・バランシング」作用
米国は東アジアの安定と繁栄の保持を主張しているが、東アジアの同盟国との軍事演習の回数は年々増加しているというデータがある。こうしたことが冷戦の雰囲気から東アジアを完全に隔絶することなく、戦争の可能性を高めている。