フィリピンの指導者は2日、南中国海の中国との係争海域を監視するため、メディアを通じて米国にスパイ機の派遣を要請した。これについて米国務省報道官は明確な立場を表明していない。フィリピンは黄岩島(スカボロー礁)紛争で挫折したが、後退することはない。南中国海で中国はフィリピンに長くつきまとわれることになるし、ベトナムとの問題もある。人民日報系の国際情報紙「環球時報」が伝えた。
世界は小国が大国に面倒を引き起こすことのできる時代になった。これほど多くの海洋紛争を抱える中国は、くたびれる、煩わしい時期を経験することになるだろう。帝国時代であれば、これらの島嶼争いの解決はずっと簡単だが、現代はそうはいかない。目の前でだだをこねるフィリピンに教訓を与えることのできるそうした手段を、軽々に用いるわけにはいかないのだ。
これは別に中国が「軟弱」というわけではない。世界で最も強大な米国も領土紛争こそないが、他の悩みを負けず劣らず抱えている。例えば米国はその主張する「悪の枢軸」に対していつでも教訓を与えられる力を保有しているが、これまで行動に移してはいない。米国も国連決議を必要とし、敵対する小国と煩を厭わずに延々と駆引きをしなければならないのだ。米国世論は朝鮮やイランに教訓を与えよとの過激な声を連日のように上げているが、これらが受け入れられる可能性は少ない。
中国にとってフィリピンとベトナムへの教訓は大いに与える価値がある。彼らが中国への挑発を極端なレベルにまで推し進めた場合、最終的に軍事攻撃を含む教訓を彼らの頭上に振り落とすことはあり得る。だが当然ながら、実際にそうするのはインターネット上でスローガンを叫ぶよりもずっと慎重でなければならない。
現代の世界は複雑で、国際環境も深いレベルで変化している。中国は多くの戦略的機会と同時に、他の大国には希有な苦境にも直面している。中国は政治、経済、文化、軍事の各分野で共に多大な潜在力を持つ国だ。こうした特殊な立場が中国の戦略的野心とともに、現行の国際システムの中国に対する持続的、慣性的な抑制も決定づけている。