クリントン米国務長官は先日、イラン産原油の輸入を大幅に減らしたことを受け、中国とシンガポールをイラン関連制裁の適用から6カ月間(延長可能)除外すると発表した。こうして両国は今年初めから米国がこしらえていた長々しい「大赦」リストに「光栄にも」入れてもらえた。中東情勢は一触即発の状態にある。米国はイランを封じ込める一方で武力攻撃はせず、イラン経済の命綱を断つべくイラン封鎖の石油の戦いを発動し、制裁の圧力によってイラン産石油の回避を他国に迫り、世界を強引に道連れにする米国式メロドラマを演じている。(文:阮宗沢『国際問題研究』誌編集長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
米国とイランの対立には長い歴史がある。米国はイランを嫌い、他国がイランに近づくことも許さない。そこで米国は自国とイランの対立を国際社会とイランの対立に変え、自国とイランの怨念を世界とイランの怨念に変える機会を探している。米国は国際社会全体の代弁者に突然変身し、米国の好みを世界の好み、国内法を国際法と主張する。こうして世界は米国に強引に道連れにされるのだ。米国の同意を得ずにイランと石油を取引していたことが発覚すると、その国は米国に懲罰されうる。国際関係におけるこうした巻き添えの法則は依然残っており、国際社会に混乱をもたらし、米国の顔色をうかがって行動せざるを得ない状況に他国を追い込むだけでなく、他国の正常な貿易活動を損ないもする。
昨年末、米国は対イラン経済制裁を一方的に拡大し、外国の金融機関にイラン中央銀行との取引を禁止した。EUもこれに続き、今年7月1日にイラン産原油の禁輸措置を発動した。こうして「イラン打倒」の国際同盟が構築された。これまでEU加盟国の間ではこの問題をめぐり溝が大きかった。イラン産原油の輸入を停止すれば、他の地域から高価な原油を輸入せざるを得なくなる国があり、これは難航する欧州経済にとって追討ちに他ならないからだ。