イランは世界第4の産油国で、OPEC第3の原油輸出国だ。イランの経済収入の80%を原油と天然ガスの輸出が占めている。米国の制裁によってイラン政府の歳入は20潤オ30%減少すると見られる。クリントン長官はイラン産原油の輸出量が昨年同期の日量250万バレルからすでに日量150万バレルにまで減少しており、年間の原油貿易収入は320億ドルの損害を被る見通しであることを明らかにした。
米欧が相次いで制裁を発動した後、中国はどう行動すべきか。中国外務省は「一つの国が国内法に基づき他国に一方的な制裁を科すことには反対だ。一方的な制裁を第三国に強要するやり方はなおさらに受け入れられない」と表明した。
中国を制裁適用から除外した今回の米国の決定には複雑な背景がある。米国は今回の発表を最後の最後まで引き延ばした。米国は中国がイラン産原油を輸入せず、イラン核開発をめぐる交渉で一層の役割を発揮することを望んでいる。その一方で米国は、中国との関係を悪化させる危険を冒すことも望んでいない。
オバマ政権は石油面で米国の独立を強調し、中東への石油依存を減らして、他国に要求をのませるカードを増やそうと企てている。だが発展途上の新興の大国である中国は安定した石油供給によって自国の経済成長を維持する必要がある。世界の石油・天然ガス資源のうまい部分はすでに西側の石油メジャーによって山分けされ尽くしており、中国は隙を縫うようにして資源を探さねばならないのが厳しい現実だ。だがこうした産油国は少なからず米国の嫌う「問題国家」であり、必然的に排斥の対象となってしまう。
米国はイランに対して「対話」と「圧力」の併用を主張しているが、より多用しているのは後者だ。最近ではイラン経済に致命的な一撃を与え、イランに服従を強いるため、制裁範囲・対象の拡大を辞さず、「制裁のための制裁」という悪循環に陥ってすらいる。ある意味において「制裁」はすでにイラン核開発問題解決の手段から、米国が手玉にとって弄ぶ政治トリックに変容しているのだ。
「人民網日本語版」2012年7月4日