米国の介入に対する姿勢は東アジア各国で様々
クリントン米国務長官は先日、日本、モンゴル、ベトナム、ラオスを休みなしに訪問し、ASEAN地域フォーラムの一連の外相会議に出席するなど、中国周辺国に外交攻勢をかけた。シンガポール国立大学東アジア研究所の陳剛研究員は人民日報の取材に、クリントン長官の今回のアジア歴訪は相当の部分が「中国をにらんだ」ものであり、米国は「アジアにおける影響力を中国と争おうとしている」と指摘した。AP通信は11日、今回の訪問は世界で最も急速に成長する経済体における地位を強化するとともに、この地域で経済的、外交的、軍事的影響力を日増しに拡大する中国を抑え込む狙いがあると報じた。
米国の両面的な介入に対して、東アジア各国の姿勢は完全に同じではない。タイの英字紙「The Nation」は12日付で、南中国海問題が中国とASEANの協力関係を妨げることは容認しないとのタイ外務省高官(ASEAN担当)の発言を報じた。同高官は「南中国海問題はASEAN・中国関係の多くの要素の1つに過ぎない。中国政府はASEANの重要な協力パートナーであるうえ、地域の発展に要となる役割を発揮し続けている。タイは建設的な役割を発揮し、前向きな雰囲気を地域に醸成し、様々な分野でASEANと中国との協力を促していく」と表明した。
ロンドン国際戦略研究所(ロンドン)のクリスチャン・ルミエール研究員は「米国がどのようなリバランス戦略をとるべきかについてASEAN各国の期待は異なる。フィリピンは米国の強力な軍事介入を望み、ベトナムは米国の介入が少し弱まることを望むだろう。一方、マレーシアなどは米国がこの地域で軍事的プレゼンスを維持すべきかどうかを根本から問題視している。したがってASEANを1つの全体とみなすことは難しい」と述べた。
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策学院の黄靖教授は「米国のアジア太平洋戦略自体に不確定な部分やちくはぐな部分が多い。まず、長期的戦略なのか短期的戦略なのかについて現在も米国内で議論がある。次に、いわゆるアジア太平洋のリバランス戦略は経済資源の大きな制約に直面している。この戦略は経済資源を通じて推進し、支えなければならない。米国は外国、経済、軍事をカバーする整った、統一された『アジア太平洋新戦略』を持っているわけではない」と述べた。
「人民網日本語版」2012年7月14日