海上での合法的権利を擁護するための「最後の一戦」の手段として、法執行船舶に対する接触戦術にも非常に高い性能が求められている。海上保安庁のヘリコプター搭載型巡視船「つがる」(PHL)は総トンが大きく(3200トン)、航速が速く(22ノット)、それだけで体当たりの際に優位に立つことが可能であり、さらに高強度の鋼質船体と特殊な隔室設計を採用しているため、耐衝突強度が向上している。同時に、PLHはヘリの近距離旋回を利用したり、騒音や主ローター波を起こしたりするなどの手段で体当たり効果を上げようとしている。共同通信社によると、日本がフィリピンに提供した多数の巡視船にも鋼板や甲鉄板が加えられており、「武器」と見なせるという。
韓国海軍と海洋警察庁も船舶の耐衝突能力を極めて重視。96年6月に朝鮮と韓国と間で起きた第1延坪海戦で、韓国海軍の「タイガーヘッド・シーイーグル」級の高速哨戒艇は接触戦術で、参戦した朝鮮警備艇の機動力を失わせた。02年6月の第2延坪海戦で敗退した後、韓国は経験と教訓を総括し、新たに設計した大型哨戒艇の武器装備を増強したほか、とくに艇体の主要箇所の甲鉄板を強固にした。海洋警察庁は3000トン級の哨戒艇を多数配備しており、そのうちの1隻が10年に中国漁船に衝突し、沈没させた。
海上での法執行に精通するある中国人はこう指摘する。巡視中に、相手側が突きあたろうとする行動は決して珍しいことではないが、本当に突きあたろうとするときは普通、避けることができる。なぜなら、その結果はまったく予測できず、だれもが自分が傷つくかどうか分からないからである。
まさに中国の海上監視船の船長が言うように「船の操縦を学ぶ場合、まず衝突を避けることを学ばなければならない。だが、国の海洋権益を守るためには、船が壊れる、人が亡くなるのは避けられないと分かってはいても、ほかに選択はない」のである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年7月16日