中国政府は20世紀に南中国海の全ての島や礁に対する権益を主張し始めた。1947年にわが国は「11段断続線」(後に9段に減らした)を画定し、南中国海諸島に対する全面的な権益を主張した。断続線の意味だが、これは第1に領海線ではない。国際法は当時、領海は3海里で他は公海と定めていた。「11段線」は全ての島や礁が中国に属すことを意味する。第2に、わが国は南中国海諸島の各々の領海を保有する。第3に、南中国海の残りの海洋区域及び海洋と海底物質の帰属については当時中国政府は請求していなかった。
1958年に国際法が改正され、領海は12海里に拡大された。海洋権が陸地権に基づくことに鑑み、わが国政府はわが国の領海が中国大陸、台湾澎湖諸島金馬地区、及び南中国海諸島の臨海陸地区に基づくことを明確にし、台湾地区については大陸と台湾の向かい合った各自の12海里以外の水域は公海であると言明した。
1982年にわが国は国連海洋法条約に加盟し、沿岸国の陸地から海洋へと伸び広がる領海、接続水域、排他的経済水域(EEZ)と公海との区分原則を受け入れた。これによってわが国はかつては保有していなかった中国大陸棚のEEZにおける特殊な権益も獲得した。これと同時に、南中国海の「9段線」周辺海域と他の南中国海諸国の大陸棚EEZが重複するようになった。南中国海の資源競争の激化に伴い、各利益関係国の摩擦の拡大・深化は避けがたくなった。中国の主張する南中国海の全ての島や礁に対する領有権について、わが国の近隣国の姿勢はかつては受け入れるか異議を唱えないかだった。ベトナムとフィリピンの姿勢もこれ以上はないほど明確だった。