過去10年間のわが国の歩みを振り返ると、2つの特徴が鮮明に浮かび上がる。(文:呉建民・人民日報海外版特約論説員、外交家。同紙コラム「望海楼」掲載)
第1の特徴は、大発展を遂げたことだ。国内総生産(GDP)は2001年の1兆1500億ドルから2011年には7兆2000億ドルへと、10年間で6倍以上になった。世界が目を見張るスピードだ。中国の大発展は決して孤立した現象ではない。21世紀の最初の10年間に、新興の大国が多数台頭した。中国ほど成長が速くない国でも、進歩は同様に大きかった。たとえばインドは2001年に4775億ドルだったGDPが2011年には1兆6000億ドルにまで増えた。ブラジル、南アフリカ、ロシア、トルコも同様に急速な成長を遂げた。発展途上国の台頭という大きなうねりは、中国の発展に良好な環境をもたらした。
第2の特徴は、台頭に伴い国際社会で遭遇するトラブルも増えたことだ。こうしたトラブルをどう受け止め、どう対処すべきか。まず、こうしたトラブルが中国の発展と進歩の産物であることに目を向けなければならない。中国の大発展は、この地域を中心に世界のパワーバランスに急激な変化をもたらした。日本は1968年に世界第2の経済大国となり、42年間安定してその座を保った。だが2010年に中国に追い抜かれた。私は日本の識者と接触する中で、この変化が彼らにもたらした衝撃の大きさをまざまざと感じた。
変化に不安、焦慮、さらには恐れを抱くのは人の常だ。米国は「アジアに回帰」し、2020年までに海軍の軍艦の60%を太平洋地域に配備して、いわゆる「リバランス」政策を推し進める方針を打ち出した。これが中国の台頭と全く無関係ではないことは明らかだ。
国家は人と同じで、後退や停滞するのであれ、前進するのであれ問題に直面する。本質的に言って、中国の直面する様々なトラブルは前進のもたらした「成長の悩み」なのだ。
このほか、中国の直面するトラブルが時代の変化と密接に関係することにも目を向ける必要がある。時代は変わり、平和と発展が基調となった。だがまだ旧態依然とした考え方を持ち、冷戦思考で中国の発展を見る人が多くいる。