米国の中東での経営は見事で、戦略上の利益と経済上の利益の双方を手に入れているように見える。だが虫のいい計算をし過ぎたようで、問題を見る目が容易に偏り、事態の推移について誤った判断をすることすらある。米国のプラグマティズムはこの地域の安全保障構造が「囚人のジレンマ」に陥る可能性を大幅に増加させる。第1に、イラン核問題を大げさに宣伝することで、湾岸諸国は「イランの野心」への懸念を募らせ、先進戦闘機や複雑なミサイル防衛システムを大量に購入する。第2に、外部の国による封じ込めと抑え込みによって、イランはますます不安を募らせ、軍事力の強化を図る。中東情勢が混迷を続ける中、米国の大規模な武器輸出が地域の平和の実現に無益なばかりか、反対に火に油を注ぎ、域内諸国間の軍拡競争をエスカレートさせ、相互信頼を失わせ、亀裂を広げ、対立を激化させることは想像に難くない。
これは決して中東だけの話ではない。米国は他の敏感な地域にも武器を投げ売りし、地域の緊張を激化させている。ニューヨークに本部を置く世界政策研究所が以前発表した報告は「メキシコ、コロンビア、バルカン、スリランカ、インドネシア、フィリピン、スーダン、アフリカのグレート・レイク地域で起きた衝突では、米国製武器が支配的役割を果たしている」と指摘している。
武器売却のような敏感な問題において、自国の利益のみを考えてはならない。この道理は米国も分かっていないわけはなかろう。さもなくば米政府高官が平和維持を名目に、他の国による武器輸出への説教に熱を上げることもないはずだ。武器輸出問題において「例外主義」の幻想に固執することは、自らの巨額の利益を除き、道義上の説得力を持ち得ないし、世界の平和と安定にも現実的な面倒をもたらすのである。
「人民網日本語版」2012年8月29日